第17章 ☆Story34☆ 代替試合
こうして第2ラウンドも終了、得点は10−9。
宙がリードした状態でまず1勝を収めた。
「っクソ……!」
「っ憲吾、お前どうしたんだよそんなにイライラして……
全然らしくねぇぞ……」
「余計なお世話だ……俺は、
この試合に勝たなきゃ意味ねぇんだよ……!」
「っ憲吾……」
憲吾は1分間の休憩に入り苛立ちを抱えたままベンチに座った。
その様子を悲しげに見てたゆりは顔を俯かせた。
「っ憲吾……どうしちゃったの……憲吾なら、
もっと戦えるはずなのに……」
『……ゆり、泣いてる……』
(ゆりの彼氏のくせに、ゆり泣かした……)
キラはゆりを見た後席を立ち上がった。
「っキラちゃん?急にどうしたんだい?」
『……アイツのところ、行ってくる。』
「っアイツって…っちょ!キラちゃん!?」
「っ……キラちゃん?」
キラは涼介の静止を構わず憲吾のもとに歩いていった。
ゆりは顔をあげキラの背中を見つめた。
「……。」
「っおい憲g『ねぇアンタ、』っキラちゃん!?何でここにいんの!?」
「っ!?
っお前……何でここに……」
『……。』
突然キラに後ろから声を掛けられ驚く吾郎、憲吾も驚いた様子で
キラを見上げた。そんなキラの表情は怒りを帯びておりまるで
ゆりに睨まれているような感覚に陥った。憲吾が呆然としていると
キラは憲吾の頭をポカッと叩いた。
_ポカッ!
「っ!」
「っえええ!?」
(憲吾の頭を殴った!?)
『アンタ、ゆりのこと泣かしてる。』
「っ!」
キラの言葉に驚きを隠せない憲吾はゆりがいるほうへ顔を向けた。
そしてその先に映るゆりは目に涙を浮かべながら
悲しそうにこちらを見つめていた。
「っゆり……」
(何で泣いて……)
「……憲吾、ゆりちゃんが泣いてもおかしくねぇよ。
それくらい……今のお前は周りが見えていない。」
「っ……」
(俺はゆりを……)
『ゆり、ずっと応援してたのに全然アンタには届いていなかった。
だからゆりは泣いてるの。』
「ゆり……」
(俺は無意識にゆりを傷つけていたのかよ……)