第17章 ☆Story34☆　代替試合

始まった第１ラウンド、憲吾が先に攻撃を仕掛けた。


「っ！」
（きっとコイツには最初から本気でいかないと勝てない。
確実にここは取らねぇと……！）


＿バシッ！


「っ！……いいパンチしてんじゃん！」


宙は両腕で憲吾のパンチをガードしながらも後ろに少しよろめいた。
その様子はまだ余裕で満ち溢れていた。


「んじゃ！今度はこっちから行くよ！」＿シュッ！

「っ！！」
（っ速い……！）


宙は瞬間移動した如く
素早い動きで憲吾に近づくとそのまま顔に拳を向けた。
憲吾が反応する前にその拳は左頬に振り落とされた。


＿ｶﾞｯ！「っく……！」
（なんて重いパンチだ……諸星よりも重い……）


憲吾は何とか踏ん張り耐えたが耐えるのがやっとだった。


「お〜！
オレの一撃で倒れないのすげぇよ！」

「っ……」
（っ高校のレベルを遥かに超えてる……
これで本当に同い年なのか……？）


憲吾は宙からただならぬものを感じた。
そんな中、ゆりは憲吾に声援を送った。


「っ頑張って！！
まだまだこれからだよ！！」


「っ……！」
（っゆり……そうだ、まだ試合は始まったばかりだ。
これくらいで弱音吐いていられるか……）


憲吾は気合を入れ直し改めて構えた。


「ホントゆりちゃんと仲良いんだねぇ……」

「っ別にそんなんじゃねぇよ……」
（悟られたら駄目だ……今は試合だけに集中しねぇと……）

「……んじゃ！試合再開といきますか！」

「っ……」


再び繰り返される攻防戦。
何とか宙の攻撃を見切りながら憲吾は避け攻撃を仕掛け続けた。
その甲斐もあり宙の左頬にパンチをかました。


「っらぁあ！！」

＿ガッ！「ぅぐ…！」


パンチで一気にバランスを崩す宙、憲吾は体制を整える余地を与えず
次の攻撃を仕掛けどんどん宙を追い詰めていった。


「っいい調子だぞ憲吾！！」

「そのまま攻め続けろ三船！！」


「っ凄い……！！
あの弟を相手にあそこまで……！」


最は憲吾の実力に驚きを隠せずすっかり試合に見入っていた。
ゆりや涼介も笑みを浮かべながら憲吾に声援を送った。


「いい感じだよ三船くん！！」

「っけん…っ三船さーん！！頑張ってーっ！！！」


ゆりは「憲吾」と呼びそうなところを何とか抑えていた。