第15章 ☆Story33☆ 決着
「っ勝負……?」
「勝負というのはあくまでパフォーマンス、のです。
例えばの話、ダンスバトルや歌唱対決……どちらが本物で偽物か、
皆さんに見てもらうのです。」
「っなるほど……私たちは、それぞれ得意な分野で
自分のアンドロイドと勝負をするってことなんですね?」
「はい……皆さんに、無茶を言っているのはわかってます。
あのような事態の後に普通にライブをしろと言ってるような
ものなんですから……」
「っ……私は、平気です!
確かに、心の傷は完全に癒てません……けど、
偽物が本物に間違われるのはもっと嫌です……だから、
私はステージに立ちます!」
「っゆり……」
(ほんと、お前は強いな……
俺は見守ることしかできねぇけど、頑張れよ……)
隣に座ってゆりと翔の話を聞いていた憲吾、
憲吾はゆりの心の強さに驚くのと同時に尊敬もした。
「本当にありがとうございます。」
「いえ……あの、パパ達は今どうして……」
「皆さんには、予定の通り観光に行ってもらってます。
恐らく皆さんは今頃万里の長城を見ている頃でしょう……
ゆりちゃん達が戻るまで、
いつも通りに過ごすよう指示しましたので……」
「っそう、なんですか……」
「ゆり……」
「ん?どうしたの憲吾、」
「昨日、俺も櫻井さんと一緒にホテルに行ったんだ。
変装してたけど……」
「え……?」
「ゆりのお父さんや山田さん……みんな心配してた。
ホテルにいるゆり達が変だって凄くショックを受けていた……」
「っパパ、涼介さん……」
「だから、ホテルに帰ったら沢山甘えていいんだからな……?」
「っ……うん、ありがとう憲吾……でも、
私は憲吾とも一緒にいたい……パパのことは大好きだよ。
たまに甘えたいって思う時だってある……」
「っゆり…「けど、私はもう少し憲吾といたいよ……」_ぎゅっ…
っ……」
ゆりは隣に座る憲吾の手を握った。
その手を握り返す憲吾だったが
どう返事すればいいか分からず翔に視線を向けた。
ちなみに憲吾は明日翔達と日本に帰ることになっている。
「っ……」
(俺だって、ゆりといたい……けど、
ゆりにはこれからやる事が沢山ある……だから……)
「三船くん……」