第15章 ☆Story33☆ 決着
憲吾と仮面ティーチャーがまだ7階に来る前、ゆりはなんとか
縄を外そうと試みていたが縄を解くことができなかった。
「っ……」
(本当にどうしよう……私、助けが来ないまま東郷さん達に……)
ゆりが涙を流した時、部屋の外だろうか……
微かではあるがある声が聞こえてきた。
「っゆり!!!俺だ!憲吾だ!!」
聞こえてきた声……
それは今すぐに会いたくて仕方ない愛しい人、憲吾だった……。
「っ!?
(っ憲吾……?っ何で……幻聴?憲吾がここにいるはずない……でも、
これは憲吾の声で間違いない……!)
っんんん……!!(っ憲吾……!!)」
ゆりはガムテープ越しに憲吾の名前を叫んだ。
「っ……んんんっ!!」
(お願い!!届いて!!!)
必死に助けを求めるゆり、だが憲吾の声はあれきり
聞こえてこなかった。だがその代わりに部屋の外では
誰かと誰かがやり合っているような音がゆりの耳に入ってきた。
「っ……」
(もしかして、外部からの助けが来ているの?
そこに憲吾が……?でも、憲吾は日本で今は試合に向けて
調整してる時期だしこんな危険な場所にいるわけ……)
ゆりがギュッと目を閉じた時、
幻聴なのか頭の中に突然憲吾の声が聞こえてきた。
【っゆり……】
「っ!?っんんん…!(っ憲吾…!!)」
(憲吾……貴方はすぐ近くにいるの……?ここにいるの?
っ……っ助けて憲吾…!!私はここにいるの!!)
心の中で懸命でも叫ぶゆり、一縷の希望を託した。
縛られた体に力を入れるゆり、それから1分もしないうちに
何かが崩れ落ちるような音が扉の外から聞こえてきた。
_ドゴオォッ!
「っ!?」
(っ何!?)
その時……
「っゆり!!」
『っどこだゆり!!』
「っ!!」
(っ憲吾!!やっぱり貴方だったのね……それに、
もう一人の人の声……どこかで聞いたことのある……)
「っゆり!!どこにいるんだ!!!」
「っんん!!(っここ!!)」
『っ……っ!!
っ三船!!あそこだ!!!』
「っゆり!!」
_ドゴオッ!
「っ!!」