第15章 ☆Story33☆ 決着
「はい、ありがとうございますジュリさん。」
「んじゃオレはこれで!
あ、そうそう……」
「はい?」
「一応言っておくけど、伊集院さんにも気をつけろよ?
あの人実験とかそういうのに貪欲だからさ。」
「っ……まさか、メンバーの誰かが?」
「……それは聞かな方が身の為じゃない?
今東郷さんいないし……」
「っ……」
(何それ……それって無事じゃないかもってこと?
それとも、私を混乱させない為……?)
「ま!ゆりちゃんは東郷さんのお気に入りだし
伊集院さんもちょっとやそっとで手を出したりしないだろうから
この部屋にいる限りは安全だと思うよ。」
「っ……ご忠告、ありがとうございます……」
(あの人が、私たちのクローンを作った張本人で
あの薬も開発した人……ある意味東郷さんより注意しないと
いけない人なのかも……)
ゆりは外部からの助けが来るまでは
絶対にこの部屋を出ないことを決めるのだった。
「ちょっと不安な思いにさせてごめんね?
でも危機感は持ってた方がいいと思うから……言っておくね。
あと、東郷さんに付いていれば大丈夫だから。東郷さんなら、
ゆりちゃんをちゃんと守ってくれるから安心しなよ。」
「っ安心って言われても……汗」
(襲われてばっかりなんですけど……)
「それに……あの人には君が "必要" だから。」
「ぇ……どう言うことですか……?」
(私が必要ってどう言うこと……)
「……それは時期にわかるよ。とにかく、
この部屋っていうか東郷さんの部屋から極力出ないようにして。」
「っ……」
急に真面目な表情になるジュリ、ジュリの意味深な言葉は
今のゆりには理解できそうになかった。だが改めて
外部からの助けが来るまではここにいた方が
良さそうだと思うゆりだった。そしてジュリは部屋を出ていき
ゆりはまたひとりになる。特にやることがないゆりは
本棚にある本を読んでしばらく時間を潰すことにするのだった。