第14章 ☆Story32☆　逃げられない

「っ……あの人たちは、
知らないんですよね……ゆり達のこと……」

「えぇ……事件があったことすら、話していませんからね。
ですが、昨日話した計画には関係者全員の協力が必要になります。
それを、今夜説明しに行くのです。」

「……俺も、一緒に行くんですか？」

「はい。潤と共に、私のお供について下さい。
貴方はただ、私の側にいるだけで大丈夫です。」

「っでも……俺が行っても大丈夫何ですか？
顔だって……一応知られてる人は何人かいるし……」

「その点はご安心ください。
先程の自衛官のジャケットと帽子に加えサングラスを掛ければ
貴方が三船憲吾とバレることは限りなく少ないはずです。
……もしかしたら、美澤社長や山田くんは勘づく可能性はありますが
わざわざ公言するようなことはしないでしょう。」

「っ……はい、
本当に俺も一緒に行く必要が……」

「計画を確実に成功させる為に貴方の同行も必要です。
昨日説明した通りではありますが、改めてこの計画について
理解を深めて頂きたいですからね。」

「っわかりました……」
（とりあえず、話しかけられない限りは黙ってればいいか……）






こうして憲吾もゆり達が滞在するホテルに
翔達と共に向かうことになったのだ。
そして時刻は20：00過ぎ、太輔ら親族がホテルに着いてしばらく経った後。
ホテルの前で降ろされ翔を先頭にホテルの中へ入っていく。
そしてすぐに瑛二とコンタクトを取りゆり達が攫われた経緯を話し
他の関係者にも伝えるために召集をかけるようお願いした。


「っまさか……あのゆり達がアンドロイドだったとは……」


瑛二は翔から話を聞くなり頭を抱えた。


「報告が遅くなり申し訳ありません。
今後の作戦についても皆さんにお話ししたいのですが
よろしいでしょうか？ゆりちゃん達を助ける為には、
ここにいる全員の力添えが必要なのです。」

「……わかりました、すぐに召集をかけましょう。
……ところで、そこの青年……いいや、少年と言ったほうがいいかな？

彼は、誰だ？

少し……私の知っている "カレ" に似ているような気がしてね……」

「っ……」


瑛二の言葉に思わず息を呑む憲吾、
翔はそれをカバーするよう答えた。


「彼は私の護衛についてもらっているだけですよ。」