第3章 ☆Story21☆ 動くそれぞれの歯車
「ありがとうございますっ(微笑)」
はにかんだ笑顔を見せる海斗
「ちなみに、十番街のどこのカフェなんですか?」
(そういえば十番街ってわりと伯父さんたちの家から近いよなぁ……)
「SAKURAというカフェです。
テレビでも取り上げられていたので少し気になっているんですよ。」
「私も知ってます!
でも、そこって結構人気なカフェですよね……
あんまり混んでなければいいんですけど……」
「その点はご安心を。
以前に店主に連絡をとっていて、事前に電話をいただければ
席を取っておいてくれるようですので(微笑)」
「わぁ……すごいですね……」
ゆりは目をぱちくりさせた。
「ふふっ(微笑)
では、10時過ぎ頃に寮に迎えに行きます。」
「っそんな!
迎えだなんて迷惑じゃ……」
「僕の方から誘ったんです。
これくらいは当然です(微笑)」
「っでも……」
「特に、ゆりさんは下手に人目につかないほうがいいでしょう?
また週刊誌に撮られたら……」
「っ……そう、言われれば……」
(前に社長にも結構強く注意されたし、
また何か書かれたらグループにも影響出ちゃう……)
「ですから、僕のほうで迎えに行きますよ。
寮の前に着きましたらご連絡します。」
「……わかりました。
お手数をおかけしますがそれでお願いします。」
ゆりは少し申し訳ないと思いながら軽くお辞儀をした。
こうして2人は翌日会う約束をし、
間もなく番組の撮影を再開したのだった。
_撮影終了後
「お疲れ様でした!」
ゆりは涼介と一緒に帰ろうとした時……
「ゆりちゃん!」
「……藤ヶ谷さん?」
後ろからタイスケに声をかけられ振り向くゆり。
そして隣にいた涼介は黒い笑みを浮かべた。
「一体何のようかな?(黒笑)」
「っそんな怖い笑顔しないでくださいよ(汗)
ちょっとゆりちゃんに聞きたいことがあって……」
「……なんですか?」
「さっき財前寺くんとなんか約束事してたじゃん?
なに約束したの?」
「いや、別に……
相談したいことがあるみたいでちょっと会う約束を……」
「ふぅん……」
タイスケは唇を尖らせた。