第12章 ☆Story30☆ 北京は波瀾万丈!?
「……。」
「黒木さん、葛城さん……これ、
僕の勘というかほぼ想像なんですけど……」
「なんだ神崎、心当たりあんのか?」
「いや、心当たりっていうか出雲の様子がおかしいって話を聞いて……
ふと思ったんです……。」
「「……。」」
「……実はあの出雲って、
あの出雲暁彦ではないんじゃないかって……」
「は?おい神崎、なんだその冗談は。」
「正直、俺もよくわかんないよ……出雲が偽者とでも言いたいの?」
「いや……最近科学も進歩して、バイオテクノロジー関係の研究も
進んでるじゃないですか。研究が進めば、細胞一つでその人そっくりの
人工生命体を作れてしまうって話……」
「……その技術を、組織が悪用しているとでも?」
「可能性は、なくはないんじゃないかなって……だって、
でかい組織なんでしょ?
上層部は肝心なところ教えてくれませんでしたけど、
そういう可能性もあるからまだ僕らみたいな一般刑事には
教えてくれないのかと……」
隆一は自信なさげながらにも自分の考えを2人に話した。
2人は隆一の話を聞きもしそれが本当なら
あの出雲の様子も納得できるような気がしてきた。
「ふーん……なかなか面白い推理じゃねぇか。けど……
それが仮に本当だったら野放しにして俺らは帰国するってことだろ?
なんだか、いただけねぇ話だな……」
「それが本当なら、すでに公安あたりが捜査に移ってそうですよね……」
「はっ!
公安は気に食わねぇ野郎が多くて好きにはなれねーんだよな。」
「仕事の役割上、仕方ないですよ黒木さん(苦笑)
でも同じ日本を守る警察の組織っていうのは変わらないのに……
なんでこんなにも温度差あるんですかね……」
「ふんっ、刑事ドラマでもよくある実は警察のトップが裏との
繋がりや政治絡みで隠し事あるんじゃねぇか?」
「「っシャレになんない事言わないでください汗」」
こうして日本に到着して受け渡しを完了した圭吾たちは
警視庁に戻り上司らに報告。
この日はゆっくり休み疲れを取るようにと言われ圭吾はその言葉に甘え
勇吾の待つマンション宅へ帰った。
帰ってみると勇吾は夜から仕事があるようで身支度をしていた。
「勇吾はこれから仕事?」
「あぁ。お前は早いな、この後戻るのか?」
「いや、今日はもう仕事終わり!
一応犯人の受け渡しも終わったしね……」