第11章 ☆Story29☆ 夢に向かって
韓国・ソウルでの2公演が無事終わった翌日、
この日は頑張ったみんなへのご褒美ということで観光が許されている。
前回と同様にゆり達はそれぞれマネージャーとSPを加えた
計5人以上での行動が絶対となる。特にゆりは前回涼介らと
逸れてしまったため厳重注意された。
「ゆりちゃんいい?
はしゃぎたくなる気持ちもわかるけど俺らのそばから離れないこと!」
「っ……分かってますってば!」
「それと、先生からもらった防犯ブザーもぶら下げてる?」←
「っ持ってます!!」
(ここまで言われるなんて……涙)
「親が親なら子も子だからね!←
これくらい心配しすぎる方が安全なんだよ。」
「うぅ……涙」
(ママ……どんだけ昔は涼介さんに迷惑かけてたのよ……)←
必要以上に注意され、ゆりは天国にいる母親を少し恨んだ笑
そんなことを思われているとも知らない母・百合は
お菓子を食べながら懐かしいホームビデオを鑑賞していた。
『今頃ゆり、何してるのかなぁ♪』_アムッ
完全にソファーでくつろいでいる百合、
太輔は当然仕事に行っている。
『叶輔と連絡取ってゆりの近況知りたいけど
完全に私用目的だから駄目だよねぇ……あーあ!
早く北京行ってゆりに会いたいよぉ……涙』
昔と変わらず今も寂しがり屋の百合、
一人で騒ぎながら太輔の帰りを待つのだった。←
そしてそれぞれが和やかな日を過ごす中、同日葛城圭吾ら警視庁から
ソウルに捜査に来ている4人は深刻な問題に面していた……。
_ダンッ!「っクソ……!出雲の野郎、
まさかソウルの裏組織の連中と繋がっていたとはな……」
同僚の賢司は苦虫を噛み潰したようにテーブルをダンっと叩いた。
「これは、現地警察と本格的に捜査協力しないと
取り押さえることは……」
隆一も眉を眉間に寄せながら出雲の写真を見る。
圭吾も凶悪犯を未だ捕まえることができないことを悔やんだ。
一方で特に警察側の人間ではない勇吾、
壁にもたれながら圭吾たちの会話を軽く話を聞いていた。
深刻な問題というのは裏組織の繋がりがあるのはもちろんもう一つ、
気がかりなことが3人にはあった……それは、
「この組織の奴ら、かつて韓流スターを殺してやがる……」