第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
それぞれがホッとしてる中、喝采が落ち着き次は憲吾が話す番となったが
いきなり憲吾が話しだすのは少しハードルが高いと思ったのか
ゆりが先に口を開いた。
『皆さん!
私から話すことは以上です……ですが、
三船さんのほうからも皆さんに伝えたいことがあるみたいです。
なので三船さんの話も最後まで聞いてくださると嬉しいです。』
お辞儀をするゆり、すると会場はまた静かになり
憲吾は緊張しながらもマイクを取った。
「っ……」
_コソッ『……ぁ、憲吾、そのマイクまだONになってない……』
「っ…あぁ……」
チラッとゆりが憲吾の方に顔を向けた時
マイクのスイッチが入ってないことに気づきコソッと憲吾に耳打ちをした。
憲吾は言われた通りマイクをONにしマイクを近づけた。
こんな大勢の前で話したことはないであろう憲吾からは
緊張しているのが隣にいるゆりにはよく伝わってきた。
_コソッ『……憲吾、頑張ってっ』
(でも無理ないよね……
私だって最初はお客さんの前に出るの恥ずかしかったし……)
「っ……(しっかりしねぇと……)
っ皆さん、俺の話に付き合っていただきありがとうございます。
さっきゆりからもあったように……
藤ヶ谷ゆりさんとお付き合いをしている三船憲吾です。」
『っ……』
(なんか、さんで呼ばれるの変な感じ……まるで、
家に挨拶に来てるみたいな……)
憲吾の言葉遣いにちょっとドキッとするゆり、
もちろん憲吾には特にそういう意識はなく
できる限り言葉遣いに注意しようという意識だった。
会場は少しざわめいたがゆりがはっきりと憲吾のことを伝えていた為
最初ほどの戸惑いは会場からは感じられなかった。
「……俺も、皆さんに謝らせてください。」
『っ……?』
(憲吾?憲吾が謝ること、一体なんだろ……何かあったかな……)
憲吾の言葉に首を傾げるゆり、
ゆりには憲吾が何を謝る必要があるのかと思った。
「……俺の存在があったことで、
俺はファンの皆さんからゆりを奪ってしまいました。
俺がいなければ、ゆりの今まで築き上げてきたものが
何も奪われることはなかったと思います。」
『っ……』
(憲吾……)