第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
『っ……』
漠然と男達を見ることしかできないゆり、
ゆりは今までとは違う恐怖感を覚えた。
それは班田に拉致された時や北京で拉致されたときとはまた違う恐怖感で
ゆりの本能は『まずい』と認識している。
自分達のステージでありながら
この場から逃げないと危険なのではとすら思った……。
ゆりが呆然としていると再び男達からCDやDVD、
これまでのグッズ等が次々と投げつけられてきた……。
『っ!…きゃっ…っ何……!』
『『っ!』』
「っ……ゆりッ!」
「っ!?
っおい憲吾!!!」
只事ではないとメンステにいたお鶴たちはゆりの元に駆け出した。
そしてまた憲吾も本能的に動き出し他のファンを乱雑に搔き分けると
フェンスを乗り越えスタッフの静止さえも振り払い花道へ飛び乗った。
それはお鶴達よりも早く前に出ており憲吾はただゆりがいる
センステに向かって走り出した。
『『っ!?』』
((誰急に!?))
「「「っ!?」」」
当然驚きを隠せないお鶴たちとその場にいる観客達、
また憲吾の顔を知る者達も全員憲吾に視線を集中させた。
『っ憲吾!!
何で憲吾がステージに!!』
「っ現場スタッフは何してんだ!!
早く三船くんを止めるんだ!!」
裏方にいたキラや涼介も思わず声を上げた。
涼介は憲吾の身の危険も感じただ憲吾を止めるよう必死に指示を出した。
関係者席に座っていた太輔達も憲吾が突然ステージ上に現れ混乱を隠せなかった。
咄嗟に太輔は2人の元に行こうとしたが近くにいたスタッフ達は
全員動かないよう指示した。
「っ三船くん……
(2人が危険だ、助けn「皆さん危険ですので動かないでください!」っ……」
(っ嘘だろ……)
「っ憲吾くん!?
気持ちはわからなくもないけどそれヤバいって!!」
「っあの馬鹿……」
(今は君が動く時じゃないのに……!)
宙も動揺を隠せず北斗に至っては眉を顰め憲吾がいる方を見ていた。
そして物を投げる男達は物を投げながら声を荒げていた……。
「何が『応援してくれるファンが一番の恋人』だ!!」
「どんだけ俺たち振り回せば気が済むんだよッ!!」
『っ……』
(何……この人たちは、冒頭での謝罪に怒ってるの……?
その時は何も……)