第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
そしてスポットライトが照らされた床下からゆりが登場し
Dolceのバラード曲のイントロが流れた。
ローラースケートと共に曲に合わせて
しなやかで滑らかな踊りを披露するゆり、
それはまるでフィギュアスケートを想像させるものだった。
普段からローラースケートで歌い踊ることが多いタイスケたち
キスマイメンバーは息を呑みながらゆりに演技に見惚れていた。
「っローラースケートであんなフィギュアスケートみたいな
表現できんの……?
ゆりちゃんマジすげぇ……」
「うん……すごく綺麗……」
ローラースケートを履きながらのアクロバットが得意なタカシとケントは
来夢とはまた違うゆりの技術力の高さに釘付けになった。
「わぁ……」
「あんなゆりちゃん、初めて見たかも……」
トシヤとユウタもすっかり見惚れ年長組である
ヒロミツとワタルもすっかり言葉を失っていた。
「っ……」
(逆境にも負けない精神力……ホント大した子だあの子は……)
「っ……」
(動きに無駄がなくて本当に綺麗だ……
神の子って言われても文句ないほどに……)
タイスケも他のメンバー同様に見惚れており久々に胸が高鳴るのを感じた。
それは初めてゆりと出会った頃の高鳴りを思い出させるもので
やはり自分をときめかせてくれる女の子はゆりしかいないと思わせた。
「ゆりちゃん……」
(俺やっぱり、ゆりちゃんのこと好きだ……。
ゆりちゃんの全部が欲しい……俺だけ、見て欲しいよ……。)
同時に切ない気持ちにもなりタイスケは無意識にも涙を流していた。
他のメンバーも見惚れている為
タイスケが泣いていることには誰も気づいていない。
涙を流しているものはタイスケ以外にもおり宙もそのひとりだった。
「っなんだよあれ……逆にゆりちゃんの魅力全開で
ますます好きになっちゃうじゃん……なのに、」
(なのにオープニングでのあの言葉、何だよ……オレのことも、
憲吾くんのことも何もかも全部なかったようなことにしてさ……
けどオレは嫌いになれない……ううん、むしろ……
もっと好きになっちゃうじゃんゆりちゃんのこと……)