第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「東郷さん、」
「……。」
樹は黙り込んだ響を見ながらあることを決断した。
それはCIAやゆりたちにとっては
危険になりえない事態になることでもあった。
また響自身も不利な状況に飲まれる可能性もあるものだった。
「次のライブ、東郷さんも見てみてればハッキリとわかるんじゃないですかね?
何で自分がゆりちゃんにそれほど惹かれているのか、
何が自分に必要なのか……ゆりちゃんの全てが欲しいって思ったなら、
ゆりちゃんの全てを知る必要性が貴方にはあるんじゃないですか?」
「……。」
ゆり達を危険に晒す可能性があるとも考えていた樹、
だがそれでも響には少しでも救いがあってほしいと心の底で感じていた。
それは、長らく組織の中に支え響の側に居たからだろうか……
樹にもそれはわからなかった……。
「貴方ほどの人なら、会場に忍び込むことなんて簡単でしょう?
もしくはしれっと関係者席で誰かに成り代わって
近くで見るのも一つの手じゃないっすか?」
「……なぜお前は、それほどにオレを構う……
お前には関係のないことだろう……
ただ餓鬼共の報告さえしてればいいものの……」
「オレが東郷さんの部下だから、って理由だけじゃダメっすか?
オレはただの平和主義者っすよ?
何事も穏便に済ませたいだけ……っすよ?」
「……。」
響はしばらく樹を見上げると再び口を開きこう樹に告げた。
「……お前は面白い奴だな。」
「……。」
『面白い奴』、樹はその言葉が意味深に感じた。
響は何を思い自分にこの言葉を投げかけたのか……
「たまには部下の口車に乗るのも、悪くねぇかもな……」
「っ……」
(ホントこの人は読めないな……やっぱオレのこと、
半分は疑ってる感じがする……)
「言い出しっぺのお前が、なぜそんな顔してんだ?」
「っ!
別にオレはそんなつもり……
やっぱり意外すぎてビックリしてるだけっすよ……」
「……。」
「んじゃ響さんは、当日ライブに行くんっすか?」
「……気が変わらなければな、」
「っそう、っすか……」
(この感じだとどんな形であれ会場に現れる……後で北斗に報告しておくか……)
樹はとりあえず今日はこの辺で去ることにした。
「東郷さん、それじゃオレはこの辺へ失礼しますね。」
「あぁ、」