第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「かも、しれないね……
社長が最初にゆりちゃんに目をかけたのも
お母さんに似た圧倒的な輝きを感じたから、と言っていたよ。
社長がゆりちゃん自身に言ったことはないとは思うけど
今のゆりちゃんがそれを何となく感じ取れば
『またお母さんと比べられた。』って思うこともあると思う……それほど、
ゆりちゃんにとってお母さんは大きな存在だ。
大好きであるのと同時に、比較対象にされるから複雑に思うことは
思春期な今の時期には敏感になると思うし……」
「山田さんは、やっぱりアイドルしてるゆりちゃんを
お母さんと重ねているんですか?
もしそうなら、
ゆりちゃんを無意識に傷つけていたことになるんじゃないんですか?」
「っ……」
タイスケはゆりの気持ちに同情してしまう
あまり少しきつい口調になってしまった。
「ゆりちゃんは確かに玉森百合の娘で、
見た目に関しては瓜二つ。
でも、玉森百合も藤ヶ谷ゆりも俺にとっては別人だ。俺にとって、
玉森百合は憧れる存在で同じ舞台に立ってみたいって思った人。
ゆりちゃんは、同じ舞台に立っている同志であるのと同時に
一緒に同じ道を歩いてみたいって思えた女の子……。」
「……。」
「2人は似てるけど、こんなにも違うんだ……きっと、
お母さんの全盛期を覚えてる人なら2人を重ねることはあるとは思う。
けど、2人とも同じ舞台に立ってるとはいえ進んでる道は全く違う。
ゆりちゃんは、本気で芸能界を生きようとしてるし世界も目指そうとしてる。
俺より全然年下なのに、尊敬できちゃうくらいゆりちゃんは凄い……。
2人は、こんなにも違うんですよ……身内は、
感じにくいのかもしれないけど……」
「……うん、君の言うとおりだと思うよ。
俺だって、そこまで2人を比較してるつもりはなかった。
けど……藤ヶ谷くんや他の人たちに比べたら
そこまで気づけてなかったかもしれない……ゆりちゃんのこと、
無意識に傷つけていたのかもって、身に染みたよ……。」
「……。」