第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「っ……」
ゆりがどれほど深刻な状態なのか、それは本人の様子はおろか
涼介の様子を見てもそれはいやでも納得できるものだった。
タイスケはただ涼介の話を聞き続けた。
「ゆりちゃんが今、あんなにも感情を曝け出せているのは
何も事情を知らない君のおかげだ……。
本当に感謝してる……俺らにはできないことを君は成し遂げてくれた……。」
「っそんな大それたことしたわけじゃ……俺だって、
ただ自分が思ったことを正直に話しただけです。
……あの、」
「なんだい?」
「ゆりちゃんがメンヘラ状態になった時のこと、話してもいいですか?
その時のゆりちゃんが、本当にゆりちゃんじゃないみたいに
思えるくらいおかしくて……」
「うん……話して、君が思ったことを全て……」
「……ゆりちゃん、
最初に何でみんな自分を否定するんだみたいに言い始めて……
山田さんの話も聞いて、メンバーとかと衝突したからなのかなっては
思うんですけど……」
「まぁ、特に来海ちゃんとの折り合いが悪くてね……
正直、ゆりちゃんがいきなりおかしくなったのは
昨日の打ち合わせ時、来海ちゃんの言葉が発端で
ゆりちゃんの様子が豹変したんだ……。」
「……アンタたちと一緒にするなっていうのは、メンバーのことですか?
その後に、自分は完璧なアイドルって言い始めたかと思えば
次は自虐するように個性ないとか凡人とか、アイドルしてる資格がないとか
言い始めて……メンバーと初めて大きく衝突したから
こんなこと言ったんですかね……」
「その『アンタたち』がメンバーのことかもしれないけど……
俺はゆりちゃんの両親のことかなって思ったよ……」
「ぇ……?」
(それ、まるでゆりちゃんが親を罵倒、否定してるみたいな……
何で……あんなに慕ってるのに……)
タイスケは涼介の言葉に驚きを隠せなかった……。
なぜゆりが両親を否定するようなことを言うのか理解できなかった……。