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【ヒロアカ】マイ・ストロング・ヒーロー

第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意






それは、紛れもない現実だった。


雄英高校から歩いて10分程のところにある大型の総合病院に、消ちゃんは搬送された。両腕粉砕骨折に顔面骨折、さらには眼窩底骨が粉々に砕け、目に何らかの後遺症がのこるかもしれないと、主治医の先生から伝えられた。なんとか一命を取り留めた消ちゃんは、その後個室の集中治療室へと部屋を移される事となった。容態が安定して面会が許され、私は消ちゃんに会いに来た。けれどそこにいるのは、いつも私のご飯を食べて「うまい」って言ってくれる消ちゃんでも、一緒に通学してくれる消ちゃんでも、生徒にビシビシと指導する消ちゃんでもなかった。両腕ともギプスと包帯が巻かれ、顔なんて見えないくらい包帯が巻かれていて…彼が今どんな顔で眠っているのか、分からないくらいだった。

それは、紛れもない現実だった。

自分の未熟さゆえに起きてしまった現実…。それが、この上なく悔しくて…悔しくて…自分が腹立たしい。こんな体で生まれてさえこなければ、私は消ちゃんにこんな大ケガをさせることはなかったのかもしれないのに…

「なにが…ヒーローよ…っ!私は…弱いっ…!!」

泣くな…出てこないでよ…!

そう思えば思うほど、ますます涙は止まらなくなり、消ちゃんが眠るベッドを涙で濡らしてしまう。

「ごめんね消ちゃん…ごめんねっ…!」

私の悲痛な声は、心電図の音と酸素マスクの音しか聞こえない部屋に虚しく響いた。こんな勝ち方…ヒーローじゃない…!

ーーー『プロヒーローは常に死と隣り合わせ。安心した将来を過ごしたいなら、普通の男と結婚した方がいいさ』

ーーー『私は、ヒーローがいいな。自分の旦那さんがヒーローなら素敵だし、なにより人のために命をかける人ってどんな職業よりもかっこいいと思う!』

そんな、他愛もない会話が、ふと頭に蘇った。消ちゃんが言っていた現実を突きつけられ、あの日の自分が馬鹿らしい。

「どうして…私なんかのために…!」

渦巻くのは、自責の念だけだった。自分さえいなければ、消ちゃんはこんな生死をさまようような大ケガを負わずに済んだ…私があの場にいなければ…こんな事には…!!


ガラ…


そう思っていた時、部屋の扉の開く音がした。振り返るとそこにいたのはーーー。

「鋭…児郎」

学校を終えた鋭児郎だった。鋭児郎は、何も言わずに静かに部屋の中に入ってくる。
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