第5章 平和の象徴
その後、警察も駆けつけ、生徒たちはゲート前に集められて安否確認がされた。
「17、18、19…両足重傷の緑谷くんと、両腕を怪我した四楓院さんを除いて、ほぼ全員無事か…生徒らは教室に戻ってもらおう。すぐ事情聴取って訳にもいかんだろ…」
「刑事さん…相澤先生は…?」
「…両腕粉砕骨折、顔面骨折…幸い脳系の損傷はなかったそうだが、眼窩底骨が粉々になっていたらしく…もしかしたら目に何らかの後遺症が残るかもしれないそうだ…」
「そんな…」
「13号先生は?」
「治療は終わってる。背中から上腕にかけての裂傷は酷いが、命に別状なし。オールマイトも同じく、命に別状なし。リカバリーガールの治癒で十分処置可能とのこと。保健室にいるよ。」
「デクくん…!」
「緑谷くんは!」
「彼も、保健室の治療で間に合うそうだ!」
「…よかった…」
「あの、刑事さん、さくらは…」
「さくら…?あぁ、彼女もリカバリーガールの治癒で間に合ったんだが…治療を終えるなり、相澤先生が搬送された病院に向かったそうだ」
「え?」
それは、誰もが抱いた疑問だった。入学したばかりの生徒が、負傷した教師の元へ駆けつける…それはあまりにも不思議な出来事だった。しかし、彼と彼女の事情を知る者…そして、その時同じ戦いの場にいて彼女が相澤にかけていた言葉や、相澤が必要以上に彼女を守ろうとしていた姿を見ていた者たちには、辛いものであると理解していた。
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