第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「優勝…おめでとう、勝己くん!」
「おう…仇、取ったぜ…」
勝己くんは、恥ずかしそうに私から目を逸らして顔を赤らめながら言った。勝利の証…彼の腕は痛々しく包帯が巻かれているけれど、私は素直に嬉しかった。
「ありがとう…かっちゃん…」
「…っ!」
腕に触れると、勝己くんの肩が跳ねた。
「あ!ごめん、痛かっ…!?」
そう言いかけたとき、私の頭を勝己くんのゴツゴツとした手がワシャワシャと撫でた。案の定髪はボサボサになり、私は何が起きたのか分からないまま手ぐしで髪を直す。
「あんがとよ…お前の声、しっかり聞こえてた」
「かっちゃん…」
「けど、その呼び方はやめろ!」
「…ぷっ…ふふっ…」
「何がおかしいんだよ!」
「あはは…ごめん…っ…!!!なんか急にツボにハマっちゃって!」
「ふざけんなよさくらてめぇ…!!!」
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こうして、熾烈を極めた雄英体育祭は優勝が勝己くん、準優勝が妖崎さん、3位が常闇くん、飯田くんで幕を下ろした。けれど、飯田くんは表彰式に出てこなかった。デクくんから聞いた話によると、飯田くんのお兄さんのターボヒーロー インゲニウムがヴィランにやられて病院に搬送されたらしい。大会の最後は、オールマイト先生の言葉で締めくくられ、私たち雄英1年は教室へ戻った。
「おつかれっつうことで、明日明後日は休校だ。プロから指名等をこっちでまとめて休み明けに発表する。ドキドキしながらしっかり休んでおけ」
それぞれがドキドキしながら休みを満喫し、気持ちを改めて勉学に励むその裏で、蠢いていた黒い影がついに動き出した。そしてその影こそ、インゲニウムを襲った犯人。
名を…ーー…“ヒーロー殺し ステイン”……
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