第7章 熾烈を極めし、雄英体育祭
「他の科や、B組も決して悪くはない。だが…」
「立ち止まる時間が短い。」
常闇や瀬呂に続き、飯田、耳郎、上鳴といったA組生徒が、次々とロボインフェルノを倒し、先々へと進む。
「(USJの事件を経て上の世界を肌で感じた者、恐怖を植えつけられた者、対処し凌いだ者…各々が経験を糧とし、迷いを打ち消している)」
「(こんな最序盤でワン・フォー・オールには頼らない!)」
緑谷もまた然り、遅れながらもひたすら走り、先へ進む。その先には破壊されたロボインフェルノの装甲の破片が落ちていた。それをすり抜けざまに拾い上げると、緑谷は急停止し、ロボインフェルノに向かって振りかざした。ロボインフェルノは粉砕し、その場に崩れ落ちた。追ってくる様子はない。そう判断した緑谷は装甲の破片を持ったまま再び走り出した。
「(盾にもなるし、汎用性高いぞこれ!)」
しかし行く先々にまだロボインフェルノは現れ、彼らのゆく道を塞ぐ。しかしそれをものともせず倒す生徒が1人。
「八百万さん!」
「…ちょろいですわ。」
創造の個性を持つ八百万が、大砲を創造し、いとも簡単にロボインフェルノを破壊したのだ。
「道が拓けた!」
「あの0ポイントが、こんなにたやすく…!さすが推薦入学者!」
「入試の時は、避けるべきものとして出したからな…倒すべきものとして見ればドンくさい鉄の塊。突ける隙も見えてくるわな。」
『オイオイ!第1関門ちょろいってよ!!んじゃ第2はどうさ!!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーール!!!』
行き着いた先、そこにあったのは落ちたら奈落の底。いわゆる綱渡りだった。
「いつの間にこんなステージ作ったん!?」
誰もが立ち尽くす中、恐れることなく軽々と綱渡りを始めた生徒がいた。それは、蛙の個性を持つ蛙吹梅雨だった。
「ケーロっ!」
「梅雨ちゃん!?」
「ケロ…大袈裟な綱渡りね。」
「フフフフフ…来たよ…来ました!アピールチャンス!私のサポートアイテムが脚光を浴びる時!見よ、全国のサポート会社!ザ・ワイヤーアロウ&ホバーソール!!きらーん!」
不気味にも思えるほどの笑い声を上げながら自慢げにアイテムを見せつけてきたのは、1人の女子生徒だった。