第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
私があたふたしていると、消ちゃんはボソリと呟く。
「……俺だって、他の女にこんな事をしようとは思わないよ」
告げられた言葉に、私は二の句を継げなくなる。
「え……っ?」
今の言葉は、一体どういう意味…?私は、他の女の人とは違う特別な存在だって…そういう意味だと思っていいの…?ただの里親と孤児っていう意味じゃなくて、私を1人の女の子として見てくれてるの?でも、まさか消ちゃんに限ってそんなこと…
「えっ…と…今の言葉は…一体どういう意味なの?」
声が震えてそれ以上の言葉は出なかった。でも消ちゃんはまた少し意地悪な表情で逆に私に尋ねてくる。
「さぁ、どういう意味だろうな?」
「教えてくれないの?」
「お前、俺と付き合い長いだろ…俺のことならなんでもわかってるんじゃないのか?」
「そんな…!」
無茶苦茶だよ。確かに付き合いは長いけれど、かといって彼の全てを知ってるわけじゃない。……好きなタイプ…とか。今までどんな女の人とお付き合いしてたのかとか…その辺は彼自身のプライベートだから首は突っ込まないようにしてたけど。
「で?そんな小さいアザを付けたのは誰だ?」
忘れてなかったのね!?
「…これは、今日の放課後…勝己くんに付けられたの…」
「爆豪が…?」
意外な人物だったのか、いつもは面倒くさそうな目をしている消ちゃんの目が少し大きく見開いた。
「うん、再来週の体育祭に向けて一緒にトレーニングしたいってお願いしたの。消ちゃんはそんな体だから頼みにくくて…そしたらトレーニングに付き合う代わりに、勝己くんが優勝したら…その…」
「俺の女になれとか言われて、それまでの間他のヤツが寄ってこないようにそいつを付けたってワケか…」
「う…うん。消ちゃんがその名の通り抹消しちゃったけど…」
「当然だ…爆豪なら尚更お前はやれん」
「消ちゃん、パパみたいになってるよ?」
お前みたいなやつに娘はやれん!的なドラマでよく聞くようなセリフを聞いて、思わず笑ってしまった。なんか、厳格な人なのになんか優しさがあるというか過保護というか…今の言葉は間違いなくイレイザーヘッドじゃなくて、相澤消太という1人の男の人の気持ちなんだろうな…