第14章 Catch! 〈天晶 瑠璃〉
『…』
あれ、無言…。皆も同じような髪型してるし、私が目立つ訳もないか。期待…しない方が良かったかも。遊園地の時は出会ってすぐに言ってくれた。けど、今は…。もう、飽きられたのかも…。
「瑠璃ちゃん。その髪型可愛いね」
『ありがとう。友達とお揃いなの』
「そうなんだ!器用なんだね!」
『友達が全部やってくれたんだ』
結局一番最初に髪型について触れてくれたのは、普段あまり話さない子で。ちょっと悲しい。
「HR始めるからね。席ついて〜」
確かバレーの試合は一番最初に行われる筈だ。最初から先輩達と当たる筈。HRが終わった後も、なんかヒロト君といる気になれなくて、別の友達と体育館に向かう事にした。
「これより、一年六組と二年三組の試合を始めます」
ヒロト君も来ているけど、他の女の子と話していた。なんだろう、この気持ち。モヤモヤ、する。
「瑠璃ちゃん。頑張ろうね」
『うん』
試合が始まって私達のサーブから始まる。サーブはバレー部の男子。相手の女子の所に狙ったお陰で、ボールは相手の誰にも触れることなく床に落ちた。
『海崎君ナイス』
「おう、ありがとな」
決まった時はハイタッチする。そういう風に事前に決めておいた。チームの士気向上の為、ミスした時はドンマイが大事。
「瑠璃ちゃん、次サーブね」
『うん』
ジャンプサーブも一応打てる。中学の時にバレーだけは頑張って練習した。だって先生に唯一センスがあるって言われたから。
『決めるっ!』
「行け!天晶!」
『よし、繋いでこう!』
二年生でも案外一年と差はないなと感じた。実際私達の方が点を取っている。でも、まだまだ油断は禁物だ。あと一点。これが大事。
『海崎君!頑張って!』
「おう!決めるぜ!」
サーブが決まって相手コートからボールが返ってくる。私は男子達にボールを繋ぐのが仕事だ。
『海崎君!』
「これで!終わりだ!」
スパァンという音と共に相手コートにボールが叩きつけられていた。勝った…!初戦をしかも先輩に勝ったんだ!
『やったね!』
「ああ、天晶、案外上手で驚いたぜ」
『ありがとう』
「瑠璃…」
「天晶、次の試合まで皆で練習しないか?」
『あ、うん』
ごめん、ヒロト君。サッカーはちゃんと観に行くから。だって、朝のあの一件からちょっと気まずいから…。
「天晶、基山と付き合ってんのか?」