第12章 Choose! 〈綾織 星羅〉
「あまり照れる事言うな」
『本当だよ。だから目は隠すの!良い?撮るよ?』
控え室からスマホを取ってきて、アプリを開いた。自撮りスタイルで写真を撮った。有人君が真顔なのがちょっと面白い。
『有人君だけの写真撮りたいんだけど、良い?』
「あ、ああ。構わないが」
カッコいいタキシード姿を写真に納めておかないと…。これからいっぱいこういう服着る機会は増えると思うけど、今日のは今日しか見れないから。
『終わったよ。ありがとう』
「さて、今日はこれで帰るか」
『うん』
「その姿が今日しか見られないのは勿体無いな」
『へっ⁉︎そ、そう?私のドレスなんか見ても何も面白くないよ!』
「いや、今日のお前は一段と綺麗だ」
『ゆ、有人君!そういうお世辞は駄目だよ!本気にしちゃうんだから!』
「本気だ」
ああもう…。良くないって。顔に熱が集中する。絶対に顔真っ赤だ。
『も、もう』
「写真撮るか」
『え?』
「俺もお前の写真を撮りたい」
『あ、えっと…。いい、よ?』
これ、どういう風にポーズ撮ったら良いの?普通にしてたら良いのかな?
「終わった」
『なんか…緊張するね』
「そうだな」
『また、こういうパーティあったら写真撮りたいな。有人君、何着ても似合うから』
「それはお前だろう」
『そ、そういうのは良いの!帰ろう…?』
「そうだな」
もう一度黒塗りの車に乗って、家に帰る事にする。なんだか帰るまで暇だし、何かやる事ないかな。
『そうだ。夏になったら、瑠璃ちゃんと乃愛ちゃん達で海に行こうって話してたんだ。六人で行こうよ!』
「そうだな。たまには悪くない」
『それから、夏祭りも一緒に行きたいし。後はディズニーランドにも行ってみたいな、なんて』
「部活がない日にでも行くか」
『ありがとう。絶対一緒に行こうね』
「ああ」
有人君と一緒に行けるなんて嬉しいな。只でさえ忙しいのに、約束もしてくれるなんて。後は学校のイベントも一緒に楽しみたい。
『二人で、沢山思い出作ろうね』
「ああ」
いつか、有人君にちゃんと気持ちを伝えられる様になったら、このもどかしい気持ちもきっと治るのかな。多分私は、思っているより有人君の事が好きなのかもしれない。
『約束、だよ?』
「ああ」
指切りげんまんで約束した。君とならきっとどこに行っても楽しいんだろうな。これから、どんな生活が待ってるんだろう。