第45章 FFHI Ⅷ〈Girls〉

『確かにそうかも…』
「瑠璃も誰かと話したいなら良いけど…」
『わ、私ヒロト君と居たい…』
「そうか。それなら良いんだ」

何だかあっちの方が騒がしいな…。何かあったのかな…。

「毎年恒例なんだ。エドガーと円堂君の一本勝負。一昨年はエドガーの勝利。去年は円堂君の勝利だったんだ」
『今年はどっちが勝つんだろう…』
「見物だね」
『あ、始まるみたい…』

いつの間にユニフォームに着替えたんだか…。でも、引き分けだったから余計今年の結果も気になるんだろう。

「毎年あのエクスカリバーには苦戦しているんだ。あのシュートは距離が長くなる程威力が増す」
『だからあんなに遠くから…』
「始まるよ。見守ろう」

エドガーが両手で弧を描き、高く跳び上がった。

「行くぞ！」
「よし、来い！」

凄い威力っていうのは遠くからでも分かった。あんな選手達と戦うんだ…！

「そろそろ終わる時間だね」
『あの、ヒロト君…写真、撮りたい…』
「良いよ」

一枚目は普通の写真で撮った。二枚目は女子高生なら皆入れてる例のアプリで撮った。何だか…凄い、好きだ。この瞬間が。

「凄いな。今のアプリってこんな風に加工できるんだね」
『何か、ヒロト君お爺ちゃんみたい。スマホ慣れしてない、お爺ちゃん』
「これでもコンピューター関係は得意なんだけどな」
『だって…何か今の台詞お爺ちゃんみたいだったよ』
「そ、そうかな」
『また、写真撮ろうね』
「ああ、勿論さ」

思い出がこうして溜まっていくんだ。君と二人の…。

「何だか、寂しいな」
『どうして？』
「瑠璃のドレス姿が見れなくなると思うと」
『もう一回見る方法…あるよ』
「え…？」

もう一度着るときはきっと…。ううん、今は反応を見てたいから言わないでおこう。

『行こっか。ヒロト君』
「あ、ああ…」

まだ気付かないんだ？ヒロト君なら鋭いから気付くと思ってたんだけど…。

「瑠璃…待って…」
『その時は、きっと…。待ってるから、ヒロト君』
「え…？」
『何でもない！』

宿舎に帰ってきて、ドレスから部屋着に着替える。何だか勿体無いなぁと思っちゃうけど、しょうがないよね。

「瑠璃ちゃん、本当に綺麗だね。何か脱いじゃうの勿体無いなぁ」
『そ、そうかな…』

確かに、ドレスを着れるのは今日一日だけだったけど、「いつか」を夢見て待つのも悪くないかもしれない。