第45章 FFHI Ⅷ〈Girls〉
〈side 天晶 瑠璃〉
何とかアジア予選を勝ち抜いた。世界大会への切符を掴んだ私達は今、初戦に向かって猛練習中である。風邪だった不動君も復帰して何となくそれっぽく纏まってきたような雰囲気もある。
「それにしても、ライコット島の気温って丁度いいね。日本だと真冬だから何か変な感じ」
『本当だよね〜。あったかいからそんなに重装備しなくて良いんだよね〜』
「そういえば、初戦の相手は、イギリス代表のナイツオブクイーンに決まったよね」
『そうだった…。イギリスかぁ…一度は行ってみたいよね』
「確かに、街並みとかちゃんと見てみたいかも」
そんな風に話をしていると、監督から招集命令が下った。何かあったのかな。
『監督が集まれ、だって』
「ほんと?じゃあ行こっか」
ジャパンエリアの宿舎に戻ると、響木監督が一通の手紙を持って待っていた。
「監督!何かあったんですか?」
「イギリスの代表からパーティの招待状があった。今日の夜6時からだそうだ。お前達、行ってこい」
『え…パーティ…』
「どうかしたの?」
『パーティ…あんまりご飯食べられない…』
「あはは…。帰ってきたら何か作って貰えば良いんじゃ無いかな」
しかもドレス何て着た事ないし。大丈夫なのかな…。
「取り敢えず、衣装合わせしてこよっか。着れないとあれだし…」
宿舎の地下にはドレスやタキシードがたくさん揃えてあり、いざとなったら着れるようにはなってるらしい。
「ねぇ、瑠璃ちゃん!これどうかな?」
『へ?』
「このドレス、ネイビーで瑠璃ちゃんに合うと思うんだけど…」
「確かに。それなら瑠璃の髪の色にも似合うんじゃないかな」
『で、でも入るかな…』
「大丈夫だよ。バレエやってるし、何なら細いくらいだって!」
星羅ちゃんと乃愛ちゃんにゴリ押しされて、取り敢えず着てみることにした。ドレス…確かに憧れだったけど…本当に着るのは初めて…。
『着れた…けど…』
「良いじゃん!似合ってるよ!」
「後は靴だね。靴はシルバーかゴールド辺りがいいと思うんだけど」
「私はシルバーがいいと思うな」
「私もそう思うよ。瑠璃ちゃん」
皆…何か真剣…。やっぱりドレスだと気合い入るのかな…?
「よし、瑠璃、こっちおいで」
『え?』
「髪型。セットしてあげる」
『ありがとう、乃愛ちゃん』
「ねぇ瑠璃。こういう格好苦手?」
『うん…』