第1章 プロローグ
桜舞う季節、四月。新学期の始まりを予感させる桜吹雪は静かに新入生達を見守っていた。
「おはよー!」
「おはよう乃愛ちゃん」
「おはよう」
三人の少女は桜並木を歩き出す。これから始まる新たな生活に期待を膨らませ、或いはこれからの生活に不安を抱いて。
「クラスどうなるんだろうね」
「ま、仮に離れたとしても会いに行くから安心してよ」
「乃愛ちゃん...」
「でも星羅はちゃんと友達作りなよ?移動教室一緒に行く子とかちゃんと作るんだよ!」
「で、でも...」
「大丈夫。新学期だし、みんな緊張してる。緊張してるのは星羅だけじゃないから」
「そうだよ。星羅ちゃんもっと自信持って良いよ!だって可愛いし!」
「瑠璃...そのフォローの仕方は違うよ...」
三人の少女は談笑をしながら私立鳴電高校へ向かって歩いていた。実はこの少女達こそ、この鳴電高校の入学受験でトップ3の成績を叩き出した超優秀な生徒なのである。
「今回の新入生代表挨拶は、瑠璃か」
「本当はやりたくないんだけど...頼まれちゃったし」
「瑠璃ちゃん、頑張ってね」
「うん。ありがとう。頑張るよ」
今年の入試で一番だったのは天晶 瑠璃。そして二番は綾織 星羅。三番は朝日奈 乃愛。と言っても点差は一、二点位なので其れ程学力の差は無い。
「あっ...見えてきたよ!」
「本当だ!うわぁ...流石私立なだけあって綺麗だし大きいね」
「うう...人が多い...」
其々感想を抱きながらも校門を潜っていく。三人が先ず向かったのは昇降口前のクラス表だった。
「あ、あった!私三組!」
「私は七組みたい」
「私六組だ...」
見事バラバラだった少女達は落胆するが、二人は気を持ち直したみたいだった。
「星羅、頑張れ!うちらもちゃんと毎日会いに来るから!」
「う、うん...」
上履きを出して其々の教室へと向かって歩いていく。中でも一番心配していたのは綾織 星羅だった。
「じゃあね、星羅。帰りも一緒に帰ろうね」
「う、うん」
心配そうに教室へ入っていく。その後、二階へ上がって瑠璃も教室へと入っていく。
これから新しい生活が始まるのだ。其々の胸に希望と不安を抱えながら進んでいく。これから波乱が始まるのだ。青春と言う名の、波乱の嵐が。