第70章 ヒューマン・ショップ

『……か……会場、言葉を失っておりますが、えー一応！！5億以上！！ありますでしょうか！？なければこれで早くも打ち止めという事に！！』

ご…………5億！？5億なんて額を提示した人がいるの！？…って、天竜人か…もしこの嫌な予感があたったとしたら、ケイミーはもう二度と取り戻せないだろう。

『時間いっぱいです！！それでは本日の大目玉！！“人魚”のケイミーは世界貴族チャルロス聖の5億ベリーにてーーーーーー何だァ！！？』

ドカァン！！！という音とともに聞き慣れた声が聞こえた。ルフィだ……ケイミーを助けに来てくれたんだ。ということは、みんなも来てくれてるってことだよね。これで安心安全だ…ケイミーは助かる。でも違う、ケイミーの首輪と手錠。あれがある限りケイミーは自由になれない。鍵は目の前にあるのに、手錠を付けられてて動けない。誰か来てくれないかな…

ドン！！ドォン…！！！

「わっ……！！」

音にビビってしまった。知ってる人か誰か撃たれてないといいけど…まぁルフィ達いるし大丈夫か。それより私は今の状況からどうにか脱出しなければ…手錠じゃなくて紐だったら一人で脱出できたというのに…暫くして、会場がバタバタと騒がしくなった。ルフィが来たってことはほぼほぼ間違いなく戦闘が始まったと思ってもいい。その時、目の前に捕まっていたご老人が立ち上がった。

「そろそろか……」

じっ、と見てるとご老人はいとも簡単に自分の手錠を外した。放り投げられた手錠は爆発した。何もしてないのに…いや、何かしてたのか？続けてご老人は、隣のずっと話していた巨人の手錠も難なく外す。

「さて、と……会場は騒がしい。この混乱に乗じて逃げるか、巨人君。」

あの手錠と鎖…無理矢理取ろうとすると爆発するって言ってたよね。というか、爆発するところをこの目で見たしね。爆発する前に手錠や首輪を外すなんて…この人、只者じゃない。

「あ、あの！！待って！！」

「…ん？」

考えるよりも先に声が出ていた。この人なら、もしかしたらお願いしたら…手錠だけでもいいから助けてほしい。そしたら、外にいる仲間達にケイミーの手錠を届けることができる。