第67章 人魚ケイミー
「そうだ、気になってたんだ!!おいケイミー、何だ!?この喋る手ぶくろ。」
「ごめーん、すっかり忘れてた!!ペットの“パッパグ”、私の師匠なの。ヒトデ。」
「ヒトデって…喋るんだっけ?」
「ペットで師匠っておかしくない?」
そうだね確かに。こんなに偉そうだし、何となくプライド高そうなのに…ペットって言い切っていいんだ。人魚のペットって魚とかそういうイメージがあったけどヒトデって…
「飼われてやってんのよ、訳あってな…………ケイミーはいつもハマグリをくれる。」
「エサね。」
そんなハッキリと言ってやるなよ…でも喋るヒトデだったら、仲良くなって美味しいハマグリをくれるってことが分かったら付いてきそう。私も海の生き物をペットにしてみたいな。
「でも、師匠ってどういうことなの?」
「そう!あのね、今着てるこのTシャツは“クリミナル”っていうブランドで、魚人島で流行ってるのよ!そのデザイナーがパッパグ!!私もいつかデザイナーになりたいの。」
ペットが有名なデザイナーになっちゃったから、師匠か。なんか複雑じゃないそれ…まぁ自分のペットだから逆に誇らしいのか。ふーん、と納得しパッパグを見ると…何故か凄い落ち込んでいた。この短時間で一体なにがあったんだ。
「ほんでおめー何で喋るんだ?」
「よく聞いてくれた!!……ガキの頃、おれは自分をヒトだと勘違いしててな…ヒトデだと気づいた頃にはもうヒト語を喋ってた。」
「それで喋れちまうもんなのか。」
「“勢い”って!!コエーよな!!!この世は勢いだお前!!!そういうわけで!!おれはヒトデのパッパグ!!!新進気鋭のデザイナーだ!!!助けてくれてありがとう!!お前らみんな愛してるぜ!!!」
そんなホイホイ思い込みでみんな話せるようになったら世話ないよ。これはもうパッパグが凄すぎるってことだろうな。悪魔の実なしでこんな流暢に話されると少し戸惑うな。
「でもよかった。私達今ちょうど進路で困ってて、聞きたい事が……」
「おいナミ!!タコ焼きが先だぞ!!」
「あ、そうそうお礼のタコ焼き!じゃあはっちんとどこか待ち合わせしなきゃ。」
「はっちん?」
そう言ったケイミーは、リュックから電伝虫を取り出した。タコ焼きはそのはっちんって人と会わないと貰えないってことなのかな?まぁそこまでタコ焼きが食べたいわけじゃないんだけどね