第67章 人魚ケイミー
「ビブルカード…って、前あんたが説明してたヤツよね?」
「ん?…あぁ、そうだね。さらっとしか説明してなかったけど。」
そう、アラバスタでエースからビブルカードを貰った時に掻い摘んで説明したことがある。改めて思うと、新世界では当たり前に流通してるものだからもっと詳しい説明をした方がいいのかもしれない。
「じゃあ私が説明してあげる。これはただの紙じゃないのよ。濡らしても燃やしても平気なの!自分の爪の切れ端をお店に持ってくと、それを混ぜて特殊な一枚の紙を作ってくれるわけ。それが別名『命の紙』ビブルカード。それを離れていく友人や家族に破って渡しておくの。見てて!これは私のママから貰ったビブルカードね。」
「あっ、動いた!!」
「離れたカード同士は世界中のどこにいても引き合うから、私はいつでもママのいる方角がわかるってわけよ!!距離まではつかめないけどね。」
「へー、不思議だなー、そんなのいっぱいあんのかなー、新世界って!!」
「便利でしょ。このママのビブルカードに私がサインしとくから、いつか何かに困ったらこれを辿ってママに会うといいわ。その時は私も元気でやってたって伝えてね。」
そうやってローラはビブルカードにサインを書くと、ナミに渡した。でも新世界で海賊やってるっていうんだから、物凄い大海賊なんだろうな。その大海賊といつでも連絡取れるっていう状況と、手助けしてくれるっていう可能性がもうできたっていうのは幸先いいよね。
「……まぁ、というわけで、前貰ったエースのビブルカードも同じ用途ってわけだね。」
「そういう意味だったのか。コレだ。」
「ちょっとアンタ!それ見せて、」
「あり?ちょっとコゲて小さくなってる。」
ルフィが帽子からビブルカードを出す。しかしそのビブルカードは、エースに渡された時とは違い紙の端が焦げはじめていた。焦るローラに嫌な予感が走る。
「…これは確かに“命の紙(ビブルカード)”……でも、まだ言ってなかったけど、この紙は持ち主の“生命力”も啓示するのよ!!これ……あんたの大事な人でしょ?」
「ああ、おれの兄ちゃんだ。」
「気の毒だけど、この人の命!!!もう…!!消えかけてるわよ!!!」
「「えェ!!?」」