第64章 巨大なバケモノ
「おいゾロ、ムリすんな!!だってお前万が一…!!こいつを倒せても、戻って来んのはルフィの影一つだけだ!!お前とサンジの影はどこにいるかもわからねェんだぞ!!でもルフィがモリアを倒せば、全員の影が一気に帰って来るんだ!!死にもしねェ巨体ゾンビにわざわざケガさせられる事ねェ!!ここはルフィを信じて“足止め”に徹しよう!!」
「充分信じちゃいるが、ルフィにも苦手なモンはあるだろ!!」
ウソップの言葉に思わず頷く。しかしルフィ苦手なものを考えた時に、少しだけ不安が過ぎった。戦闘的には苦手なものはほぼないに等しいと思うけど、オーズにも通じたようにルフィには…
「………“ダマシ”、だね。」
「そうだ…!!!“透明人間”“霊体人間”“影の支配者”。そもそも人をおちょくる様な能力者が揃ったこの島で、敵が正々堂々ルフィと対峙してくれるかさえ疑問だ。」
「確かに有り得る。」
「むう…」
モリアって影の支配者なんだよね。影を操るんだから、本物と影を上手くトレードして戦わせないようにしてるかもしれない。素直な性格だからこそ、騙されやすいのがルフィだから。
「ルフィがスカされて朝がきたら、あいつもおれもコックも3人共、まともに戦えなくなる!!!だったら夜明けまでにルフィ一人だけでも正常に戻しときゃあ、後は何とかなんだろ!!!」
「夜明けまでもう30分もねェだろうが……これだけ霧の深い海だ。朝日の届く場所は限られてる…!!」
「とうとう朝か。“霧”が唯一の救いだな、夜明け前にして…正直…やっと消滅への危機感も出て…」
ズズゥ…ン!!!
「うわ!!何だ!?この揺れ!!!」
地面が揺れた。大きな揺れが落ち着いたかと思えば、空に覆い被さってた雲が失くなっていた。霧が唯一のって話した矢先にこれとは…誰が見てもこの状況は絶望的だ。
「………!!最悪だ……!!一縷の希望が深い霧だったってのに…!!一体誰の策略で、このタイミングで霧が晴れるんだ!!これじゃ朝日はストレートに射してきちまう、」
「キシシシシ…!!図らずも清々しい夜空…もう夜明けも近いが…ぐずぐずしてていいのか?貴様ら…」
いきなり私達以外のバカにした声が聞こえた。オーズの方から聞こえたが、この口調はオーズではない。どこだ、とキョロキョロと声の主を探す。