第64章 巨大なバケモノ
踏み潰そうとするオーズを難なく避けて移動する。そしてオーズと同じ目線に飛び上がる。私の水の力じゃ多分デカイオーズにはシャワーみたいなもんだろう。思いっきり頭を叩くにはやっぱり大きい氷で応戦すべきだ。そう考えた私はオーズ程の大きな氷を、オーズの頭に少しずつ形成した。その間にもオーズからの攻撃は止むことはなかったが、幸いにも私は空を自由に動くことができるから避けることができる。
「“ゴムゴムの……”」
「伸びないんだから、その技名やめたら?」
ピストルを構えるオーズに思わずそういう。影だからしょうがないけど、ルフィの技名言われると何かやり辛いのだ。だからってみんなをボロボロにしたことは許せないから遠慮はしないけど。
「ほら、特大の氷だよっ!!くらえっ!!!」
オーズに影を作るくらいに大きな氷の塊を頭上から落とす。ルフィの持ち前の俊敏さで全部避けられるが、地面に落ちて欠けた氷まで操れる私は、砕けちった氷を余すことなくオーズへと飛ばす。大きなダメージ一気に与えられないことが課題ではあるが、少しづつでも体力を削れることができればそれでいい。ゾンビの肉体をところどころ裂けられているところをみると、ダメージが蓄積されないとも言いきれないし。
「うおっ!!コイツチビの癖に中々やるじゃねぇか。でもそんな攻撃、おれには効かねェぞ!!!」
ブォン、と嫌な音をさして思いっきり殴ってくる。そろそろ私の体力との勝負になってきそうだな…と思い始めた時、チっ、と音がしてゾッ、とする。頬をかすめただけなのに、頭だけ取れそうなほど重かったからだ。
「すばしっこいな〜、お前!!」
「それはあんたもでしょ…」
なるべくオーズに近づかずに、建物の壁と並行して動く。しかしそれが仇になったのか、私の体力が限界だったのか分からなかったが、平手打ちの攻撃を避けることができなかった。ゴフ、とむせ返るような血の味と、グラグラする頭。雪崩となった瓦礫の下で朦朧とする頭で思う。これは確かに…ゾロも一撃で倒れるわ、と。