第57章 我らが船
「メリー、海底は暗くて淋しいからな。おれ達が見届ける!!ウソップは…いなくてよかったかもな…あいつがこんなの…たえられるわけがねェ。」
「どう思う?」
「そんな事ないさ…決別の時は来る、男の別れだ。涙の一つもあってはいけない。彼にも覚悟はできてる。」
ルフィがメリーに火を付けた。ボウボウ、とメリーが燃えていくのを見届ける。
「長い間…おれ達を乗せてくれてありがとう、メリー号。」
不思議だ、こういざお別れが来ると…思い出が次々と頭を過ぎっていくのだ。メリーとあったのはシロップ村、カヤの執事メリーさんがくれた船だったよね。最初は初めての大きな船ではしゃいだよね。色々と挑戦したくて、船を破壊して、そのたびにナミに怒られる。嵐も超えてきた、爆風に乗って飛ぶことも、空だって飛んだ。
『ごめんね。』
「え、」
あの時頭に響いた声と一緒だ。やっぱり、あれはメリー号だったのか。でもさっきより、ハッキリと私達に言葉が聞き取れる。
『もっとみんなを遠くまで運んであげたかった…………ごめんね、ずっと一緒に冒険したかった………だけどぼくは、』
「ごめんっつーなら!!おれ達の方だぞメリー!!!おれ舵ヘタだからよー!!お前を氷山にぶつけたりよーー!!帆も破った事あるしよーー!!ゾロもサンジもアホだから色んなもん壊すしよ!!そのたんびウソップが直すんだけど、ヘタクソでよォ!!!ごめんっつーなら…」
『だけどぼくは幸せだった。今まで大切にしてくれて、どうもありがとう。ぼくは本当に、幸せだった。』
もう駄目だ。涙で前が見えない。メリーの声はハッキリと聞こえるのに、最期に海へ沈んでいくメリーを見たいのに、ボヤけて見えない。足から崩れ落ち、身体を抱え込んで思いっきり泣いた。ありがとうメリー。私も、私達も、君と一緒に冒険できて嬉しかったし、幸せだったよ。
「メリー〜〜〜〜〜〜〜!!!」