第53章 海列車
ウソップがいらんことをしたせいで、せっかく忘れられてた私達の存在を確認されてしまった。ウソップは慌てて自分はもう麦わらの一味じゃないから関係ないとまくし立てたが…
「………!!アウ………!!」
…やられてしまった。カクの素早い攻撃で、ウソップは崩れ落ちる。言い方は悪いが、フランキーに勝てないウソップが、コイツらに勝てるとは思えない。私も然り。
「つまり、“麦わらの一味”は抜けたが、まだ海賊はやめておらんのじゃな…海賊ならば連れて行く。カリファ。」
「ええ。」
「それとこの船、処分しておらなんだか…」
「……おいてめェっ…!!!そいつに触るなよ!!?おい!!!聞いてんのかっ!!!」
何するの…?凄く嫌な予感がする。カクはメリー号の抑えを外し、レバーへと歩く。
「仮の姿とはいえ、わしらはこの町ではれっきとした船大工。ダメなものはダメだと聞き入れて欲しいもんじゃ。」
「それがどうした放っとけよ、お前の船じゃねェんだから!!!」
「これで…水が出せるんじゃな…」
「待て!!!バカなマネやめろよ!!?おいっ!!!」
カクはレバーを引くと、メリーがいる水路の扉が開いた。そこに繋がってるのは、もちろん海だ。待ってよ、メリーがいなくなったらウソップは…なんの為に一味を抜けたのか…
「……待って、待ってよ!!………うっ、」
急いで走り出した私だったが、メリーに伸ばした手をそのまま捕まれ、カクによって背負投げをされてしまった。地面に叩きつけられ、身動きができない。メリーはそのままウソップの静止も虚しく海へと消えていった。