第52章 決闘
「“決闘”に敗けてその上…同情された男が、どれだけ惨めな気持ちになるか考えろ!!!不用意な優しさがどれ程“敗者”を苦しめるかを考えろ!!!あいつはこうなる事を覚悟の上で決闘を挑んだんだ。」
ルフィがメリー号まで戻ってきた。やっぱり麦わら帽子で顔が見えない。だが…声が震えている。そうだよ、私達より何より直接手を出したルフィが1番辛いはずだ。
「重い…!!!!」
「ルフィ…………っ、」
…ダメだ。ルフィの震えてる声で堪えてた涙が出てきてしまった。頭の中にウソップとの思い出がかけめぐってて、でも目の前のウソップは傷だらけで倒れてる。もう一緒に過ごすことの出来ない時間、もう戻ってこない仲間。
「………ぅ…うっ、…………ルフィ〜…」
さっきゾロに言われた言葉が頭を巡る。泣いてちゃダメだ。船長の代わりが私なんだ。ルフィにしっかりしてもらわなきゃ、この先何するべきか示して貰わなきゃ、私達が露頭に迷う。
「ルフィ………船長(キャプテン)でしょ、迷っちゃダメだよ………ぅ、あんたがフラフラしてたら………私達は誰を信じればいいの!!?」
ナミもチョッパーも私も、そしてルフィも涙を流した。チョッパーはサンジから開放されてウソップの元へと走っていった。治療をするのではなく、治療薬などありったけを置きに行ったのだ。
「船を空け渡そう。おれ達はもう…この船には戻れねェから。」
ゴーイング・メリー号にはもう乗れない。それだけでも辛いのに、仲間を元仲間を1人置いて出ていくなんて。お腹がキリキリとするし、目がじんじんとするし最悪だ。
次の日…結局適当に宿を取って泊まった私達。全然眠れなかったな…当たり前か。まだ疲れは取れてないし、ダルい。既に同室のナミはいなくなってる。外の空気も吸いたいけど、出掛ける気にはなれない。そういえばここの宿、屋上が開放されていたな。
「……ん?なまえちゃん?」
「サンジ……」
廊下に出たところでサンジに会った。ちょうど鉢合わせをしたのだ。サンジも部屋から出てきたわけでもなく、何処か外に出てたのだろう。
「何処かに行くところだったのかい?」
「ううん……外の空気を吸いに屋上へ。」
「そうか………あいつらもいるかもな。」