第50章 船大工職人
『人の金で借金を返そうとするな、愚か者。』
「拾ったんだこの金は!!」
「違います!!勝手に拾ったことにすんな!!」
『……すまんな、どうぞ。』
「あ、どうも………」
手を差し伸べてくれたルッチさん。片手で私を軽々と持ち上げるのはさすが職人さんというところだろうか。というより、ハトが喋ってることに驚き凝視してしまう。
『連れてきましたアイスバーグさん。』
「耳!!いてェ!!」
「手間かけたなルッチ。」
びしょびしょで陸にあがる。どうしよ……ズボンがスキニーみたいになっちゃった。今まで水操ってる時こんな濡れなかったのにな。それもあの宝石のおかげだったのだろうか…てかさっきの人が顔を赤くしてたのって、もしかしてコレのせいか…?
『どうもバカがご迷惑おかけしましたね。クルッポー、ホラお詫びしろパウリー。』
「ふげ!!」
陸に上がりパウリーさんを解放するルッチさん。やっぱり謝るのはハトだ。
「喋りまくりだな、あのハト。」
「帽子の男の代弁してるみてェだ。まァ………とにかく金が戻ってよかった。」
「よォ、お前が持ち主か。拾ってやったぜ。」
「ああ!ありがとう。」
「礼なら一割よこせ。」
恩義着せがましいなコイツ。と思ったところでルッチさんがハンマーでパウリーさんを殴る。これは痛いぞ。
『失礼お客さん。コイツァギャンブルで借金が嵩張ってるもんで金にガメつく。礼儀を知らない。』
「だから何でお前が喋るんだよ!!!」
「この野郎…ルッチ、てめェもう許さん!!!」
パウリーさんはロープを出すと、ルッチさんの手を引っ掛けて1本背負いをした。結構な衝撃だったはずだ。しかしルッチさんは片手で地面を抑え、逆さのまま衝撃を止めていた。