第7章 一人目
「あっはっはっはっはーっ!!あなたが“海賊狩りのゾロ”さんだとはつゆ知らずっ!しつれいしましたっ!」
剣士の癖にグーで殴りやがったぞ、こいつ。3人ともボッコボコ。開放された私は慌ててゾロの隣へ戻る。ヒロインかな?
「てめぇらのお陰で仲間を見失っちまった。とにかくまっすぐ漕げ。あいつの事だ、陸でも見えりゃ自力で下りるだろう。」
そんで船を漕がせてるしな。強いって凄いなー。この世界ではやっぱり強い人が権力持ってるんだなー。
「で?何で海賊が海の真ん中で溺れてたんだ。」
「それだっ!!よく聞いてくれやした!!」
「あの女っ!!」
「そうあの女が全て悪い!!」
「しかもかわいいんだけっこう!!」
およ?一人なんか全然怒ってない人がいるけど。てか、女の人にやられたっていうの?
「ありゃおれ達が商船を襲った帰りの事でした。」
話を聞くところによると、商船からお宝を奪ったはいいが、海で遭難している振りをした女の人に宝を奪われた上さらに船まで盗まれたという。さらに天候を予測し、スコールに当たって船も沈没。
「ていう次第なんですよ!ヒドいでしょ!?」
「へ〜、すごいね。女の人なのに…」
「天候まで操るのか…海を知り尽くしてるなその女。航海士になってくれねぇかな。」
「お、いい考えだね!ちょうど探してたしね!」
「あいつは絶対に探し出してブッ殺す!!」
「それより宝をまずどうする。」
「そうだぜ。このまま帰っちゃバギー船長に…」
「そのバギーってのは誰なんだ?」
「おれ達の海賊船の頭ですよ。“道化のバギー”を知らねぇんで?“悪魔の実シリーズ”のある実を食った男でね。恐ろしい人なんだ!」
「…悪魔の実を…?」
「へえ…こんな早くに仲間に会えるなんて…」
フーシャ村を出て、それほど日数は立ってないのにもう悪魔の実を食べた人が出てくるなんて。東の海(イーストブルー)って最弱の海じゃなかったっけ?
「つきました、ゾロのだんな!お嬢さん!」
「なんだ…がらんとした町だな。人気がねぇじゃねぇか…」
「じつはこの町、我々バギー一味が襲撃中でして。」
「みんな、避難してるってわけね。」
「どうする。バギー船長に何て言う。手ぶらだぜ、おれ達。」
「そりゃあった事をそのまま話すしかねぇだろ!!どうせあの女は海の彼方だ。」