第45章 ドーナツレース
「けれども喜びも束の間!!サンゴを抜ければ“ロング渦(リング)”!!!」
「“ロング”って下にもロングじゃねェかァ!!ギャ〜〜〜!!!」
「ウソップ、騒がないで…」
サンゴ礁を抜けた先には滝のように流れる水が。飲み込まれたらきっと滝壺に叩きつけられて終わりだろう。飛ばない限りここは通れなさそうである。
「やるのよ“衝撃(インパクト)”。やんなきゃのまれちゃうわ。」
「……やけに落ち着いてると思ったら。てめェ…これ初めから計算に入ってて……」
インパクト……そうか、さっき敵のボートを追い抜いたのってウソップの掌についてるインパクトダイアルのおかげだったんだ。早速活用するなんて、ウソップもやるな。しかし、インパクトダイアルって1回撃つだけでも死にそうになったから……多分泣いてるのだろうけど。
「ナミ!!私に任せて!!!」
「え!?」
フォクシーはさっきの煙幕を簡単に抜けられたショックから立ち直ってない。今、私はフリーであるため手助けができる。ナミ達が乗ってるボート周辺の海水を持ち上げ、弧を描くようにロングリングを飛び越えていく。
「タルタイガー号海で、ロング渦(リング)を渡った〜〜〜っ!!?副船長さとみの能力かァ〜〜!!?そのまま“ロング岬(ケープ)”も飛び越えた!!!そして……着水っ!!タルタイガー号、なんと予想だにしない奇跡の大幅リ〜〜ド!!!大逆転!!!無敵のキューティワゴン、敗れてしまうのか!!!」
「すまねェ、助かった!!」
「ありがと!!なまえ!!」
副船長だってこともバレてるわけね。どうやって調べたんだか…まぁいいか。これで誰も傷つかずに敵と差をつけられた。手を振ってくれたナミに手を振り返して、コソコソと移動してるフォクシー達を追うことにする。
「いや、敗けてはいないよ!!魚人の筋力にサメの尾ヒレでエンジン倍速!!!サンゴを砕いて波をいとわず追い上げる!!!さァ、レースは中盤!一方こちらは漕ぐ漕ぐタルタイガー!!」
追いつくと、何か大きい看板を海に立てていた。ドーナツレース、右へと書いてあった。…多分、大丈夫でしょう。ルフィやチョッパーじゃないんだから、気づくだろ。