第41章 神・エネル
「なまえっ!!!チャンス作ってあげたわよ。」
「はいはい、今のうちってね!!」
霧の中に薄っすらと見える巨体。片手で支えられない籠手を何とか両手で持ち、霧の中に入ってく。ホトリは突然の霧で慌ててるし、これで私がミスらなければ作戦成功っていったところか。
「くらえっ!!」
「コノ…」
「“インパクト”!!!!」
ホトリの肩に両足を掛け、確実に攻撃が当たるように顔面に籠手を向ける。そして、インパクト……撃ったあとに後悔した。これ、めちゃくちゃ手が痛くなるんだけど!!ホトリは倒せたけど私の手が無事じゃない!!
「うぅ………ぐっ、……てぇ……」
衝撃で飛ばされた私をピエールが翼で受け止めてくれたのは嬉しかったので賞賛しよう。だけどこんな痛くなるものを女子に託すなんて、ガン・フォールさんも肝が座ってる。
「よし!!やったわねなまえ!!船と船員を守ったわ!!」
「…………うん、そうだね…」
今回は本当に撃退できた。いつも撃退しようと思ってやられて終わるから…嬉しいけどそれ以上に腕の痛みがヤバイ。
「ちょっと!!どこ行くの変な騎士!!」
敵を追い出して息を付く暇もなく、ガン・フォールさんは鎧を身に着け始めた。まだ傷も癒えてないのにわざわざ戦場に向かうというのか。
「すまぬが我輩エネルを追う!!!」
「何言ってんのよ!!レディだけにする気!?」
「だからすまぬと言うておる!!我輩の部下達の命の危機なのだ!!いや!ともすれば…この国の危機やも知れぬ!!!」
さっきのことか…ガン・フォールさんが神だった時に使えてたっていう部下さん達…あのエネルの言い方だったらもう部下さん達は…って考えられるよね。それは心配だわ……だけど私達の身の危険も考えてほしい。