第41章 神・エネル
大騒ぎした夜から朝になり、ダルさもだいぶ取れた。テントから出ると、船の方で何やら大騒ぎをしていた。私達が寝てる間に誰かが船の修理をしてた、とウソップが言い張ってるのである。
「見ろ!!!言った通りだろ、ここに誰かいたんだ!!!見たんだおれは、やっぱりあれは夢じゃなかった!!!」
「G・M号が……修繕されてる…!!」
「確かに…折れきったマストまでちゃんと直ってる。」
「………だが言っちゃ悪ィが下手くそだな。」
「いいやつがいるもんだ。」
よく見ると、改善されたところはツギハギになっててサンジの言ったことも頷ける。ボロボロになった箇所だけじゃなくて、羽とかとさかとかも取られて端に置かれていた。
「姿は見たの?」
「…いや、霧が凄くて見えなかった。……おれァてっきり…オバケかと…………」
「……しかし、こんな辺境で誰が船を直してくれるってんだよ。この“神の島(アッパーヤード)”におれ達以外敵しかいねェはずだぞ……」
確かに。私達のことを気にかける人もいなければ助けようと思ってくれる人もいないはず。いたならもうとっくにここを出れているはずだし、こんな目に合っていない。
「でもフライングモデルじゃなくなってるな、ウソップ。」
「そこなんだ。それを考えてた。何でこれを直してくれた奴は…メリー号の元の姿を知ってるんだ。トサカがなかった事も羽やしっぽがなかったことも。なんで知ってるんだ?なぁメリー…誰だったんだありゃあ…」
メリー号の元の姿を知ってるってことは一度はこの船を見てる人ってことなんだよね。でも一般人はこの森に入ってこれないし…
「本当に見てないの?どんな人かも?」
「……見えなかったんだよなァ…分かると言やあ小さかったことくらいか……?」
ちいさかったねぇ。子供がこんなところにいるわけないし、妖精か何かだろうか。
「なまえ!!あんた何やってんのよ、早く来なさい!!」
「あ、ごめん今行く!!」
いつの間にか私の班の脱出チームは船から離れてキャンプの後片付けをしていた。船に残ってるのは私とウソップだけだった。慌てて船から降りてナミ達の手伝いをする。