第37章 空の海
帆で上手く風を受けた船は絶妙なバランスを取って、水柱に平行で飛び始めた。少しでもバランスや計算がズレたりすると、下に落ちてしまうのだろう。ナミはやっぱり、凄い。
「すげェ、船が空を飛んだ!!!」
「まじか!!?」
「ウオオオオ!!!」
「やった。」
「へェ…」
「凄い!!何で浮いてんの!?」
「ナミさん素敵だー♡そして好きだーー♡」
「この風と海流をつかめば、どこまででも昇っていけるわ!!!」
そうと分かれば安心はできないけど、いくらか不安がなくなっていく。そしたらどんどんと空島への期待も膨らむもので…やっとわくわくできる自分がいる。
「もう着くのか!?空島!!」
「あるとすればあの雲の向こう側よ。」
「雲の上か!!あの上に一体何があるんだ……!!!“積帝雲”に突っ込むぞォ〜〜〜〜〜!!!」
「「「「うおおおォォ〜〜〜〜!!!」」」」
大きな雲、積帝雲に船ごと突っ込む。この上に空島が…ってまず雲って突っ込めるのかな。見た目固そうなんだけど大丈夫なんだろうか。みんなそんな心配もしてなさそうで、空島への期待があるような顔をしている。
突っ込んだはいいけど、やっぱり私の心配は当たった。しかも、悪い形で。雲の中には問題なく突っ込めたんだけど……中は水だった。凄い速さで上昇しているため、いつもの倍は息を止めるのがキツイし目が開けられない。そんで雲の中にいる時間が長い!!そろそろ息が持たない……死んじゃうんじゃないか…あぁ、目の前が暗くなっていく。苦しい、苦しい、酸素がほしい。そして…
ドカン!!!
「っはぁ〜〜〜〜!!!ゲホ、ゲホゲホ、……はぁ、はぁ〜〜…、」
雲から出た瞬間に酸素がぐわっ、とやってきて大きく息を吸う。あーー!!空気おいしい!!
さすがにみんなもぐったりしてて、息をすることに精一杯になっていた。こんなにキツイなんて聞いてない。ここが1番命の危険を感じたよ、クリケットさん…