第33章 ジャヤへ
「………………手振ってる。給気に気づかれちゃだめよウソップ。」
「わかってるよっ。」
さっきからずっとこんな感じである。この猿人さん、とてもいい人なんだろうな。優しいし、笑顔で接してくれるし。まるでお客さん扱い。でも、いつ機嫌を損ねちゃうか分からないのでとりあえず手を振り返すしかない。
「おいおめェら!!!あいつらはカボチャだと思え!!!見学がいるからって…キ…ウキキ…!緊張するココねェぞおめェら!!!」
「「「「「「「「アアイアイアガーーーー!!!」」」」」」」」
「……何かプライドみたいのがあんのかな。」
「イイとこ見せてくれようとしてんのね。」
「めっちゃいい人じゃん。」
猿人さんもその船員達も揃って緊張してるのがまるわかりである。見てるって言っても本当に見てるだけで、見学っていう目的じゃないのが逆に申し訳なくなってくる。そろそろ作業に入るみたい。猿人さんの船員の一人がゆりかご?を設置しに海底へと潜っていった。潜った人の合図でゆりかごのセットを確認をする。その時
「「「何だコリ…」」」
バババッ、と私達3人はスピーカーを凄い速さで塞いだ。…びっくりした、さっきまで全然声が聞こえなかったのにいきなり大声出さないでよ。叫びが聞こえたのか、猿人さんはこっちを振り返った。
「な…何だァ!!?そのサル!!サルは何ですかァ!!?」
「おお…これか…ウキキ…お前…お目が高いな。そう、コイツはただの船首じゃねェ!!!」
ほっ、と息をつく。ウソップの機転に感謝である。やるじゃん、という意味も込めて軽く小突いてやった。
「発進だ!!!“船体(バルコ)ハンター”!!!」
「「「「「「アイアイサー!!!」」」」」」
シンバルを持ったやけに可愛い顔の猿が前進し、そのまま海底へと潜っていった。そっか、これもサルベージするための機械になってるんだね。
「わあ!!すげェ!!!」
「本当にすげェ!!!」
「何が?」
男2人がそれに反応して声を上げる。いや、ただ船首が海底に潜っただけじゃん。確かにそういう構造になってるのはすごいけども、そんな興奮するようなものではないと思う。