第32章 空への地図
「もう追って来ねぇな…海軍の奴ら…」
「「「「「んーー…」」」」」
「突き放したんだろ!?」
「「「「「んーー…」」」」」
「…あのな、何だよその気のねぇ返事は…」
「「「「「さみしーーー……」」」」」
ビビと別れを告げて、海軍を撒いてまた航海へと船を進ませたはいいが……みんなビビとの別れの余韻が残っているのか、ゾロ以外が号泣をしていた。ダラン、と柵の下に手を出し力が入ってない。まだこのメリー号にはビビとカルーが乗っていたという証拠があり、切なくなる。今にもドアが開いて、「みんな、何やってるの?」って聞いてくるんじゃないかという錯覚まで起きる始末。
「めそめそすんな!!おい、何とかしろよなまえ………お前ェもか!!!」
みんな泣いてるから、ゾロも何をしたらいいのかわからないらしい。私に助けを求めたようだが…残念。みんなみたいに力が抜けきってる状態ではないものの、嗚咽が止まらなくて困ってる。
「うえっ………ひっく……うううぅう…!!」
「…ったく、そんなに別れたくなきゃ力づくで連れてくりゃよかったんだ。」
「うわぁ野蛮人……」
「最低……」
「マリモ……」
「三刀流………」
無理矢理と言ったゾロにみんなが非難を浴びせる。いや、ルフィは微妙に罵倒できてないし、ウソップもルフィに解説をいれてるからみんなではないか。今の私にはそんな罵倒できるほどの余裕はなく、とめどなく流れる涙を思いっきり拭うことで精一杯である。
「…やっと島を出たみたいね…ご苦労様。」
やっとって……私的にはまだアラバスタにいたかったのに……ん?待てよ、今の誰の声?ピタッ、と涙が止まりゆっくりと声のした方へ視線を移すと…そこにはミス・オールサンデーがいた。
「え……」
「組織の仇討ちか!!?相手になるぞ…」
「何であんたがここにいんのよ!!」
「キレーなお姉サマ〜〜っ♡」
「敵襲〜〜!!!敵襲〜〜っ!!!」
「ああああああああっ………誰?」
みんなが一瞬でパニックになる。涙なんて驚きで引っ込むわ。何でこの船に…この人はどういう目的でいるわけ?