第29章 アルバーナへ
「“クソレストラン”………!?」
「へぇ……憶えててくれてるみてぇだな。嬉しいねぇ……」
電伝虫の向こう側は私達がよく知っている人物で。2人は知り合いみたいだ。もしかして、リトルガーデンでボスと話してたって言ってたから…そのときにもクソレストランって言ってたのかもしれない。しかし、この声を聞いただけで強張ってた体から力が抜けた。助かる道が見えてきたのだ。
「てめぇ一体何者だ……!!」
「おれか………おれは……“Mr.プリンス”。」
……どうしてMr.プリンス?砂漠で言ってたことを引きずってるのだろうか。ここで本名を言わないところが彼らしい。頭はかなりいい方である。
「…そうかMr.プリンス…今どこにいる。」
「……そりゃ言えねぇな。言えばおめーおれを消しに来るだろう?まァお前におれが消せるかどうかは別の話で、易易と情報をやる程おれはバカじゃねぇ……お前と違ってな、Mr.0。」
かなり煽っているんだけど、大丈夫だろうか。相手は本物の王下七武海だぞ。
「プリンス〜!!!助けてくれェ!!!捕まっちまってんだよォ〜〜〜〜っ!!!時間がねぇんだ!!!」
ウソップが力の限り叫んだ。確かに悠長に話をされてては困る。1時間後、ここは湖に沈むと宣言されているから。
「はは…そばにいるみてぇだな。ウチの船員(クルー)達は…じゃあおれはこれから…」
ドゥン!!!
電伝虫の向こう側から銃声が響いた。話してた声が聞こえなくなった代わりに、重々しい音が聞こえてくる。
「ハァ…ハァ…てこずらせやがって……………もしもし!?ハァ…ハァ…捕らえました。この妙な男をどうしましょう。」
「…………!!サンジさん!?そんな…」
サンジの声とは別の知らない男が返答した。え、まさか本当に撃たれたっていうの?あのサンジが?いくら電伝虫で話してても、殺気に気づかないような人じゃないはずなのに…
「……そこはどこだ?……場所を言え…」
「ええ…『レインベース』にある“レインディナーズ”というカジノの正面門です。」
「バカか!!使えねぇなあの野郎…生きてんだろうな!!」
「…サンジ〜〜!!!」
檻の中のみんなはただ1つの見えた希望がなくなってしまった焦りを感じて騒いだ。…ゾロ、意外にサンジの心配をしてるんだな。なんて、ツッコミは心の中だけにしておこう。