第28章 クロコダイル
「一国の王女もこうなっちまうと非力なもんだな。この国には実にバカが多くて仕事がしやすかった……若い反乱軍やユバの穴掘りジジイ然りだ…!!」
なんで…トトさんのことを知ってるの…?会ったことあるんだろうか。
「…もうとっくに死んじまってるオアシスを…毎日もくもくと掘り続けるバカなジジイだ…ハッハッハッ…笑っちまうだろ?度重なる砂嵐にも負けずせっせとな…」
「何だとお前っ!!!!」
「聞くが“麦わらのルフィ”。“砂嵐”ってヤツがそう何度もうまく町を襲うと思うか………?」
…どういうことだろうか。これじゃまるで、誰かが仕組んで砂嵐を起こされせたみたいな言い方じゃないか。私達のその考えを見越したように、クロコダイルは悪い笑みを浮かべてその手に小さな砂嵐を起こされせた。そうか、コイツの能力は“スナスナの実”の砂人間。砂嵐なんて簡単に作れるし、ここの気候はクロコダイルにとって最適なんだ。
「お前がやったのか…!!!」
「殺してやる…」
ビビの声も虚しく、クロコダイルは笑いながらこの部屋を後にした。すると、すぐに私達の横にある床が開いて水が溢れてきた。もうタイムアップの1時間が始まってしまったのか。クロコダイルは行ってしまった。正直敵わないから、まずルフィ達を助けることが先決だ。早めに自分の紐を切り、椅子から立ち上がる(水で刀を形作って斬った)。ビビは精一杯に顔を歪ませてクロコダイルに攻撃をしようとしたが…悔しさで武器は床に落ちてしまった。
「………ビビ。」
「ビビ!!!何とかしろっ!!!おれ達をここから出せ!!!」
「ルフィさん…!!」
ルフィを見ると、さっきまでの余裕そうな顔はどこへやら。顔は汗を垂らしながら焦りを見せ、その手は怒りで震えている。
「クハハハ、ついに命乞いを始めたか麦わらのルフィ!!!そりゃそうだ、死ぬのは誰でも恐ェもんさ。」
「おれ達がここで死んだら!!!誰があいつをぶっ飛ばすんだ!!!」
さすがルフィ。檻の中でも迫力があるというか…ビビを奮い立たせるのに十分な言葉だ。