第21章 奇跡
「さぁミス・ゴールデンウィーク!!私に塗装を施したまえ!美術的に!!あの生意気な麦わらボーシをひねりつぶしてくれるガネ!!!」
「そしたら休んでていい?」
「あぁ構わんとも!!むしろ手は出さんでくれたまえよ!!こうなった私はもはや無敵っ!!!鉄の硬度を誇る“ドルドルのろう”でまろやかに体を包み込んだこの鎧に死角はないっ!!!」
言い方なんかきれいだなこいつ。まろやかにて、包み込んだて。でもデザイン的にちょっとダサいんだけど…ルフィは好きそう。
「かっこいい。」
「見とれてる場合か!!戦え!!」
ウソップとカルーは敵から十分離れたところからルフィを叱咤する。そういえば土に埋まってたウソップはまだしも、家に引かれてたルフィはどうやって脱出したんだろうか。考えてたその時、まぁまぁの距離まで避難してたのにろうの霧が舞ってきた。まだろう降るんだね…てか、ろうだったら火で溶けないかな。ん?今普通に言ったけど、そういうことだったりする?
誰かちょっと相談…一人じゃ不安。
「ウソップ…」
「うおっ!?ビックリした〜、なんだお前かよ。その足どうしたんだ?」
「なんか起きたら固定されてた。じゃなくて!これろうそくなんだよね?火で消せたりしないかな?」
「…………はっ!!なんで気づかなかったんだ!!消せるぞ!!ルフィ!!コイツのろうは火で溶ける!!!いくら硬くてもろうはろうなんだ!!!こいつらも!!ブロギー師匠も!!まだ固まって時間が浅い!!救えるぞ!!」
「本当か!!?」
「うん、ほんとよ。」
「いやキミが白状すな!!!」
ほら敵もそう言ってるし。私は天才か?これならウソップの火薬星で一発で燃やすことできるな。
「フフン…!!だがそんなことが今更わかろうと貴様にはもう勝機も!!時間もない!!もはや保って30秒!!!それでそいつらの心臓は完全に停止する!!!今頃奴らは…かすかに残る意識の中で苦しみ、もがき、死への恐怖を味わっているのだろう!!!」
「30秒もいらねぇよ。今助けるぞ!!!必殺!!“火炎”…」
「“そよ風息爆弾(ブリーズ・ブレス・ボム)”!!!」
「ウソップ!!!」
今日はよく焦げるな、ウソップ。なんて私が言ってる場合ではないよな。そりゃそうか、ろうそくが火で消えることを知っててそれをさせるわけないよね。どうしたらいいのかな…火…