第7章 トラ男とパン女の攻防戦
脇腹を撫でたローの手が、上へ上へと移動してくる。
インナーの下に潜り込んだ手は、キャミソールのパッド部分を押し退け、膨らみをすっぽり手のひらで包んでやんわりと揉む。
「……チッ、またこんな無防備な下着をつけやがって。」
「だ、だから、部屋着ですってば! 外に出る時は、ちゃんと……、んんッ」
胸を扱くように揉んだローの親指が、偶然を装いながら先端に圧を加える。
すでに起ち上がっていた頂は甘い痺れをムギに与え、疼いた下肢がいっそう濡れる。
これはもう、下着を取り換えなければならない案件だ。
「……宅配が来たらどうする?」
「そりゃ、えーっと……、いつも素早く着替えてますよ?」
嘘である。
というか、パッド付きのインナーは立派な下着。
服から尖りが透けるわけでもあるまいし、なにをそんなに気にしているのだろうと思う。
そのへんはやはり、男心なのだろうか。
「嘘つくんじゃねェよ。言っておくが、お前、顔に出やすいからな。」
「え……。」
指摘されて焦った表情をするあたり、それが真実だと語っている。
手に取るように感情が読めてしまうムギを見てローはため息をつき、そして心配する。
「よく今まで無事にひとり暮らしができてんな。怪しい壷とか押し売られてんじゃねェか?」
「あ、出た、心配病。わたしだって、そんなに馬鹿じゃないんですよ。」
「どうだかな。こんなに無防備なくせに。」
ローの唇がうなじに押し当てられ、髪の生え際をちゅうっと吸った。
「ん、いった……。」
ちくっと感じた痛みは、ムギの肌に消えない痕を残した証拠。
「や、もう……、見えるところにつけないで!」
「なら、見えないところならいいってことだな?」
「は……。」
見えるところにキスマークを残されるくらいなら、見えないところに付けられる方が何倍もマシ。
でも、それを許容したら最後、大変な目に遭うような気がした。