• テキストサイズ

パンひとつ分の愛を【ONE PIECE】

第7章 トラ男とパン女の攻防戦




勝手な想像だけど、ローはもう少し控えめな愛情表現をしてくるタイプかと思っていた。
なにせクールな人だから、稀に見かけるようなバカップル相当な真似をするとは考えにくい。

が、いざ付き合ってみると、先ほどの寝かしつけといい、ローは過度なスキンシップを好むタイプだった。

街中で手を繋いだり、マンションの下でキスをしてきたり、アブサロムに見せつけるためのパフォーマンスかと思いきや、あれはデフォルトだったらしい。

今も平気な顔をして肩を抱いてくるが、対するムギは堪ったものじゃない。

(やっぱり、近いし狭い……。)

モリアが購入した三人掛けソファーは無駄に大きい。
座るスペースは十分すぎるほどあるのに、今のムギたちときたらみっちり一カ所に固まっていて、せっかくのソファーが泣いている。

「あの……、ちょっと離れてくれません?」

「は? なんでだ。」

「いや、だって、そのぅ……。」

あんまり近すぎると、心臓が高鳴ってドキドキする……なんて乙女らしい本音を口にできるはずもなく、飛び出たセリフはいつもの憎まれ口。

「暑苦しいんで! 重いし!」

誤魔化すにしても、もう少し言い方というものがあったと思う。
けれども好きな人に、それもとびきりイケメンな彼氏に間近で理由を問い詰められたら、心にもないセリフだって飛び出るもの。

「お前は、ほんとにもう少し……ああ、いや、いい。俺もいい加減、期待するだけ無駄と学習した。」

「ど、どういう意味ですか!」

「そのままの意味だろうが。その可愛くねェ口が、どう素直になっていくのかが見ものだな。」

可愛げの欠片もない嘘は、容易くローに見破られている。
変な誤解を生むよりかは何倍もマシだけど、その代償と呼ぶべきか、ローの体重がじわじわムギの方へ移動してきている。

「え、ねえ、重いんですけど……。」

「ああ、寄り掛かっているからな。」

「寄り掛かるなら、背もたれへどうぞ。」

細身でもしっかり体重があるローの身体を預けられれば、あっという間にムギは傾いた。
片手をついて支えてみても、迫りくる猛獣を宥められそうにない。

なんだか少し前にも、同じような出来事があった気がする。



/ 400ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp