第7章 トラ男とパン女の攻防戦
女性のショーツは、もとより頼りない装備だ。
肌触りとデザイン性を重視した下着に防御力はなく、耐久性もない。
だから、身の内から溢れ出す蜜をすべて吸い取ってはくれず、キャパを超えた蜜は布から滲み出て、そこを滑るローの指を濡らした。
くち、くち、と粘つく水音が聞こえる。
それがなんの音なのか、考えたくもない。
というより、考える余裕なんかなかった。
ローの指が滑るたび、得も言われぬ刺激が脳を直撃し、喉から出るのは嬌声ばかり。
憎まれ口すら叩けずに、いやらしい声ばかりが部屋に響く。
「あ、あー……ッ! ひ…ゃ……ッ、あ、んん……!」
過去に興味本位で一度だけ見たことがあるアダルトビデオは、女優がひっきりなしに喘いでいてドン引きした。
あれは雰囲気を出すための演技だと思っていたが、今の自分はどうだろう。
甘えたように、耳障りな声で啼いてはいないだろうか。
こんな恥ずかしい声は出したくなんてないのに、自分の意思では止められない。
ならばせめて口を塞ぎたいと願っても、頭上で拘束された両手の自由は利かず、みっともない声を防ぐ方法がない。
握り込まれた両手首の圧が、ぎっと強まる。
痛みを覚えて眉を顰めたけれど、耳もとでハ、ハ、と浅く苦しそうな息を繰り返すローは気がつかず、無意識な行動のようだ。
今もローは、なにかと戦っている。
一方的に攻め続けるだけのくせに、まるで自分こそが攻撃されているのだという顔で。
上下に擦るだけだった指は、やがて新たな蜜を求め、最後の砦であったショーツさえも押し退ける。
視覚的には、わからない。
すべては、衣服の中で行われている行為。
目には見えなくても、攻める方も防ぐ方も互いに状況が手に取るようにわかっている。
受け身であるムギは、恐怖に震えていた。
己を苛むものの正体にはとっくに気づいていて、それを快感と呼ぶのなら、直に触れられてしまったら最後、自分はどうなってしまうのだろうという恐怖。