【うたプリ】My only prince.【R18】
第10章 君との刹那も永遠も〘藍〙
QUARTET NIGHTのミニライブ&ミニ握手会は、新しいシングルのリリースイベントとして先月末から今月末にかけて数回行われる。
ミニライブでは奇跡の整理番号を引き、2列目センター位置辺りにつけることが出来た。ライブの途中もずっとドキドキが止まらなくて、本当に幸せな時間だった。自担の藍くんがレスをくれたのはまあ、自惚れかもしれない、いや多分そうなんだけど当たり前のようになっていてその事実だけでニヤけそうになる。あとは嶺二に落ちサビ目線もらっちゃって、つい持っていたペンライト2本中1本を緑に変えちゃったよね。
何とは言わないが壮絶なバトルを勝ち抜いて手に入れた握手券2枚を握りしめて藍くんの列に並ぶ。相変わらずの人気ぶりに頭を抱えそうになる。藍くんが早く私の彼氏になればいいのにという思考を巡らす私は、いわゆるリアコだ。みんなが藍くんとどんな会話をしているのか気になるし、知りたくない気持ちもない事はないがやっぱり全部知りたいと思ってしまう。
いや、人のことよりはまず自分のこと考えなきゃ。握手した時、きっと藍くんはネイル変えたことに気づいてくれるから藍くんの色にしたよってこと言って…あとはんー…
「次の方ー」
『はい!』
うっそ早い!まだ全然話すこと決まってないのに。
「あっ、天音。久しぶり。」
『久しぶり〜って、やっぱりよく覚えてるよね。ほんとに久しぶりになっちゃったのに…』
「何言ってるの。ボクが忘れるわけないでしょ。」
ちょっと笑った顔もかわいい。
「ていうか、途中からレイジのこと見てたのもボクが気づいてないと思った?」
『え?!いや…えっとあれは…』
「どうせちょっと目線もらって釣られたんでしょ。」
『はい…』
ファンへの対応とは思えないほどの冷たい物言いに寂しさを覚えながらも、絶妙な距離感の近さに嬉しくなってしまう。
「はい時間ですー。」
『あっ、あの…!』
「天音はボクのことだけ見てればいい。あと1枚の握手券で、もう1回ボクに会いに来てくれるんだよね?」
藍くんはいじわるっぽく笑った。
私は遠目から頷いて、剥がされてもその笑顔に釘付けになってしまいそうになった。