第2章 もう1人の…
ウロウロウロウロ。歩けど歩けど1組なんて入口は見つからない。泣きたい。
虹村「お前、新入生?」
『あ、はい…1組なんですけど、教室の場所分からなくて…』
虹村「1組なら、この道真っ直ぐ歩いて次の角を右に曲がればすぐだ」
『まじですか!?ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!!』
虹村「一生って…まあ好きにしろ。じゃあな」
先輩だと思われる背の高い男の人は、教えてもらった道とは逆の方向に歩いて行った。ていうか、先輩が1年クラスの階に何でいるんだろう。
はっ!今はそんなこと考えてる時間もない!早く教室に行かなくちゃ!
あたしは先輩に教えてもらった通りに進み、無事1組の教室まで辿り着いたのだった。
『失礼しまーす』
恐る恐る教室に入ると、小学校の頃とは違い静かで驚いた。
あたしが通うことになった帝光中は有名なマンモス校であり、違う小学校からの入学者も多かった。
つまり、知り合いがほとんどいない状態である。もちろん、あたしだって知り合いなんていない。
…はずだった。
牧田「…明石?」
『…牧田(まきた)?』
牧田「やっぱ明石か!って、ぶふっ!お前制服全然似合ってねぇなあ!」
『うるさいなあ、牧田だって全然じゃん』
牧田信明(のぶあき)は小学校6年の時に同じクラスだった、同級生だ。比較的仲が良かったし、お互い冗談だって言える。
暫く話していると、いきなり教室の扉が開いた。自然に目がそれを捉える。
そこには真っ赤な髪をした、綺麗な男の子がいた。
『うわ…ねえ見てよ牧田。めっちゃ真っ赤でめっちゃ綺麗な男の子』
牧田「あ、本当だ。てか明石の目の前の席じゃね?」
…なんてこった。あんな綺麗な男の子の後ろで授業を受けるのか。
…まじでか。