第2章 もう1人の…
西松「俺は本当にやりたいわけで…」
「ならなぜ立候補の時に手を挙げなかった?そこで手を挙げておけば今こうやって交渉する手間も省け、あんなに時間もかからなかったはずだ」
『ちょ、赤司君も落ち着いて…』
「オレはいたって冷静だよ。冷静さを失っているのは…西松の方だ。オレは部活に行くよ。また明日、明石さん」
『あ、うん…』
赤司君はスッと通り過ぎて行った。思わず立ち止まっていた牧田と桃ちゃんも、自然と避ける形をとった。
『えっと…西松君?』
西松「っ…何でもないよ。また明日ね、明石さん。行こう、牧」
牧田「はっ!?ちょ、オイ待てよ松!じゃあな、明石!」
「私も行かなきゃ!またね、ちゃん!」
まるで嵐が去った後のようだった。さっきの数分の間に起こった事は、少しも意味が分からなかった。ていうか一言言いたい。
女子の誰か、学級委員を代わってください。
それから数日後。
仮入部員だった1年生も本入部を果たし、放課後はそれぞれの部で一生懸命取り組んでいる。もちろんあたしは入っていない。帰ってネットサーフィンの毎日だ。
相変わらず赤司君は近寄るなオーラが凄くて、かと思えばフッとそれは消えて喋ってる時がある。かと思えば教室に青色の人や緑、紫の巨人達が進撃してきて、自然に赤司君と話している。
赤司君が本当に小さく見えるくらいに。
マネージャーになった桃ちゃんの話から聞くと、赤司君は無事1軍に入ったそうだ。あの巨人たちも一緒に。1年で1軍は凄いらしい。そして驚いた事に青色の巨人が桃ちゃんの幼馴染だとか。
牧田と西松君は2軍スタートらしい。2軍でも十分凄いらしいから、祝福すると2人も嬉しそうにありがとうと言った。
そしてあの日から、西松君と赤司君の仲は最悪状態だった。
何をするにも西松君は赤司君を敵視していて、赤司君はそれを綺麗に流す。見ててハラハラするのはあたしだけでしょうか。
そんな日々を過ごしていたあたしに、ワースト10くらいに入る学校行事、スポーツテストがやってきたのだった。